誰もがストレスをあまり感じずに生きていくことができればいいのだが、実際はなかなか難しい。
しかし、ストレスを感じているときに、「我慢してやりすごせばいい」と考えてはいけないようだ。専門家は「ストレスは蓄積していくもの」だと指摘する。
■ストレスは「借金」のようなもの。早く返さないと大変なことに
早稲田大学人間科学学術院教授・応用脳科学研究所所長の熊野宏昭さんが執筆した『実践!マインドフルネスDVD』(サンガ刊)は、マインドフルネスの実践入門書。その中でストレスは、次のように説明されている。
ストレスは借金と似ています。・・・借金を返さないでいつまでもためていると、破産してしまいます。だから、借金を返すことがとても大事なのです。(p.18より引用)
ストレスは借金と似ている。ならば、早めに返していかないといけない。しかし、返し方が分からなければ、解消することは難しい。どのようにストレスを対策すべきなのか?
本書で熊野さんが呼び掛けている方法が「マインドフルネス」だ。
マインドフルネスというと、米IT企業でも取り入れられたことから2010年代後半から日本でも大きなブームになったが、なぜマインドフルネスがストレス対策になるのか、把握していない人も少なくないだろう。
■ストレスに対する対抗力を3つの面で強める
熊野さんによれば、個人のストレスに対する抵抗力は「体質」「習慣」「心」という3つの面で強めることができるのだという。一つ一つ見てみよう。
(1)体質(力まず)
ストレスがたまると身体が緊張状態になり、力みが続くようになる。その緊張を緩めるようにしていくとストレスがたまりにくくなる。
(2)習慣(避けず)
私たちは「苦手なものは避けたい」「痛みはなるべく早く取ってしまいたい」などと思いがちだが、苦手なものを避けてしまい、やらないことが逆にストレスをためる原因になる。だから、一度避けずにやってみることが大事だ。
(3)心(妄想せず)
実際に起きていないことを妄想し、不安になってしまうことはないだろうか。心の使い方を改善して、妄想をせずに目の前の等身大の現実に気づけるようになることが大切なのだ。
この3つの面のうち、3番目の「妄想せず」が「マインドフルネス」だ。マインドフルネスを通して心の使い方を改善することで、ストレスに対する抵抗力が強化される。ではそのやり方をのぞいていこう。
■瞑想の秘訣は、呼吸を無理してコントロールしないこと
妄想や不安に呑み込まれてしまったときに必要なのは、ハッと我に返り、目の前の現実をありのままに感じることだ。マインドフルネスはその手助けをする。その方法が「瞑想」である。
本書では「集中瞑想」(サマタ瞑想)と「観察瞑想」(ヴィパッサナー瞑想)という2つの瞑想の方法が紹介されている。
本書で紹介されている瞑想は、床に座っても椅子に座ってもOK。背筋をすっと伸ばし、体の力を抜く。体が傾かないように真っすぐにし、少し前かがみになって下腹にちょっと力が入るような姿勢で行う。手は安定する方法で置いておく。
ここで大切なのは、呼吸だ。呼吸に集中する練習ではあるが、無理に呼吸をコントロールしないことがポイント。マインドフルネス瞑想はありのままを感じるのが目標だからだ。ゆっくり吸いたいときは吸い、浅い呼吸の方が楽なときは浅い呼吸をするということが大事だ。
他に瞑想をしている際に発する言葉や時間などの指南が書かれているほか、DVDでマインドフルネスの実践方法を確認することができる。
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私たちはストレスフルな毎日を過ごしている。それにゆえに、心を整えるマインドフルネスはぜひ活用したいところだが、注意が一つある。それは、実践を重ねることが大事だということだ。
最初は形から入り、習慣化すれば、習熟してくる。そうすれば、ストレスに対して巧みな自分をつくることができるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。