面接で「良い会社」を一発で見抜く方法…あなたの実力を一発で見抜く面接官の驚愕テク
この「代弁」によって、面接官に対して応募者は「この人は自分の理解者だ」と感じるのである。その結果、応募者がさらに話しやすくなる。
「もちろん応募者を判断しなければなりませんが、“敵ではない”というアピールは重要です。敵だと感じさせてしまえば身構えた態度しかとらないですから」と彼は言う。
自社の悪いところ、限界を正直に話す
面接官の正直な気持ちとして、「自分の会社を良く見せたい」と思うのは当然だろう。しかし彼は自分の会社を良く見せようとしない。
「うちはデザイン力も今ひとつです。ただ、ファームウェアの開発は得意です。今のことを踏まえた上で、うちでどのようなキャリアを望んでいらっしゃるかを聞かせていただけないですか?」
苦手なところや、できないことをあえて先に言うことで、応募者に余計な期待を抱かせず、かつ応募者も正直に答える雰囲気ができる。お互いの時間を無駄にしない気づかいだ。
たとえば、「勤務地の希望は東京都内です」と応募者から言われたとき、「希望を聞く場を別途設けています」などとはぐらかす会社がある。また、「離職率はどのくらいですか?」との質問に、「秘密ですが、高くはないです」と明言を避ける会社もある。
しかし、彼はすべて明瞭に答える。前出のような質問に対しては、「東京都内という希望に添うのは難しいと思います」「離職率は20%程度です。少し高いですが、反省しています。離職者が多い理由としては●●なので、改善策を取っていくつもりです」と、はっきりと答える。最終的には誠実さが重要であると彼は強調する。
「正確な情報を出さなければなりません。応募者が入社してから情報を与えるのでは遅すぎます」と彼は言う。
好きなだけ質問してもらう
彼は面接時間と同じくらいの長さの質問時間を設ける。「こちらからする質問よりも、むしろ応募者から質問されるほうが、その人の本当の姿をつかみやすい」と言う。
現場では、以下のような感じである。
「では、これから質問タイムに入りますが、時間制限はしていないので好きなだけどうぞ」
「急がなくていいので、じっくり質問を考えてください」
「あ、上着は脱いでいただいて結構です」
このように、極力質問をしやすい状況を意図的につくり出している。
応募者の方々も、「良い会社かどうかを面接官の態度から見極める」ための、ひとつの材料になるのではないだろうか。
(文=安達裕哉/経営・人事・ITコンサルタント)