会社にはその会社の独自のルールがあるもの。中にいれば当たり前だけど、ハタから見ればおかしい。世間とズレているのに、なぜかまかり通り、それが改善されない。
これはまさしく「組織の病気」だ。なぜこんなことが起こるのか。そして、そんな企業の中でうまく生きていくにはどうしたらいいのだろうか。
『「会社の悪口」は8割正しい』(秋山進著、SBクリエイティブ刊)は、著者の秋山氏のビジネス経験の中で遭遇した出来事の中に、日本企業の組織が持つ構造的な問題を見つけ、様々な角度から考察していく、ウェブ上での連載に大幅な加筆修正を加えた一冊である。
■話しはじめると止まらない。他人の時間を食う「老害」
多くの企業にはびこる厄介な「病気」の代表格に挙げられるのが「老害」である。
老害にはいくつもの症状があり、その多くが周りの人間を困らせると著者は訴える。例えば、「無自覚に他人の時間を奪ってしまう」というもの。これだけ読んだだけで頷いている人も多いだろう。
「ちょっと」と呼び止められる、話が始まるともう止まらない。さんざん話した挙句に、全く関係のないところに行き着くのが特徴だ。実のない話を聞かされることは苦痛だが、切り時が分からない。そうしているうちに本来仕事に向かうべきエネルギーが、老害対応にまわってしまうのだ。
■新しいことに対しての拒絶反応が会社の成長を遅らせる
「老害」のもう1つの問題は、「新しい技術や自分のやり方・考え方から外れたことに拒否反応を示し、周りの成長も阻害する」ということだと著者は言う。
「自分が知らないからダメ」とよく考えることもなく拒否してしまう。多くの企業では、老害にかかっている人たちが意思決定の権限を持っている。だから、彼らの「NO」が部署全体や会社全体の「NO」になる。
それが、会社に新しいモノやコトを取り入れる機会を失ってしまうのだ。
■自分が老害にならないための方法とは?
とはいえ、勤続年数も長くなれば、自分も「老害」になってしまう可能性がある。著者よれば、40代からその兆候が現れる人もいるという。
未来よりも過去に視点を置き、自分が変化するよりも、快適な環境の中で安住したいと思い始めたときに、老害の兆候は現れてくるのだ。
では、老害にかからないためにはどうしたらいいか。秋山氏が考えるその唯一の方法は、ずっと現場の第一線で働き続けることだけだという。
モノやサービスを売る・作る立場にいれば、お客様やマーケットをきちんと見ざるを得ないし、古い世界に閉じこもっていれば、すぐに仕事は立ち行かなくなる。「売れない=自分のやり方がもう通用しないのだ」と自覚できるから、時代に合わせていかざるを得ない。問答無用で現場の第一線に戻せば、多くの人は復活するという。
新入社員やゆとり世代の考えていることがわからないと感じている、今の立場や環境で満足してしまっている人は、老害になる可能性が高いかもしれない。若手社員から老害扱いされることがないように、いくつになっても日々の努力と新しいことや若い知恵を拒絶しない意識がけも必要となるのだろう。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。