ちょっとした空き時間の雑談、商談前のアイスブレイクなど、本題に入る前のコミュニケーションは、とても重要なものになる。
注意すべきは、「会話には分岐点がある」ということ。この分岐点での対応を間違えると、相手に悪印象を与えたり、信頼を失ってしまったりする。
『面白いほど雑談が弾む101の会話テクニック』(神岡真司著、フォレスト出版刊)は、そんな会話における分岐点での対応だけでなく、場が盛り上がる雑談のテクニックや、心理誘導のスキルまでを扱った一冊。
あなたは対人関係で、こんなミスを犯していないだろうか。
■安易なポジティブ変換はトラブルの元
たとえば、はじめて訪問した取引先がとんでもなくオンボロな社屋だった場合、ありがちなのが、「風格がありますね」「歴史の重みを感じますね」と、無理やりポジティブ変換した言葉でほめてしまうこと。
少し冷静になればわかるはずだが、これは聞きようによってはかなり皮肉なフレーズだ。こうしたフレーズは「こんにちは、いつもお世話になります」と挨拶し、相手から「こんなボロいところですいませんね」などと言われてはじめて口にすることが許される。
これは社屋にかぎらず、先方に関するあらゆるお粗末な状況に対しても同様だ。むやみにポジティブ変換してほめるのではなく、相手が卑下してきたときだけ軽く触れることを心がけよう。
■上手に断るには「切り返しの質問」を磨け
相手からの誘いを角が立たないように断るのは難しい。これが上手にできないと、ビジネスの現場では思わぬ不利益を被ることもある。
「今度の土曜、空いている?」と、最初に予定を聞き、イエスと言わせてから要件を伝え、あとから断れないようにさせるトークのパターンはよくある。
こんな時は、「えーと、日程表を見てみないとわかりませんが、なんでしょう?」と切り返しの質問を習慣づけないと、行きたくもない飲み会や勉強会で休日が潰れることになる。
■謝罪でやってはいけないこと
謝罪をする場合、「経緯の説明」をする時は注意が必要だ。たとえば、「遅刻して申し訳ありません。電車が架線事故で停まってしまったものですから」とやってしまうのはNG。
「謝罪」と「経緯の説明」をセットで述べると、迷惑をかけたのは自分のせいではなく不可抗力で仕方なかったと言い訳に聞こえ、時に相手を怒らせてしまう。
まずはきっちり謝罪をして、経緯を述べるのは、相手に理由を尋ねられてから「実は~」と話すべき。基本は「謝罪の言葉」の次に「対応策」を伝え、その上で「経緯の説明」→「反省・謝罪の言葉」という順序になるのだ。
話す内容は同じでも、言い方や話の順序によって、相手からの印象やあなたの信用はまったく違ったものになる。それなら、雑談にしても商談にしても、自分の得になる話し方を身につけておくべきだろう。
仕事とは結局のところ、コミュニケーションに長けた者が利を得るのだから。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。