通勤電車の中や、食事の後、そして就寝前など、気がつくとついつい手にしてしまうのがスマートフォンだ。
自分ではちょっとした合間の時間にスマホを見ていると思いがちだが、そこはチリも積もればなんとやらで、平均1日3時間以上はスマホを見るのに費やしているというデータもあるほど。
特に、今は「ポケモン GO」のブームもあって、普段よりさらにスマホを見ている時間が増えている人は多いはず。もしあなたが、スマホを家に忘れると不安で仕方がなかったり、家族や友達と過ごしていてもスマホが気になるようなら、もはや「スマホ中毒」である。
■あまりにも大きなスマホ中毒の弊害
『スマホの5分で人生は変わる』(KADOKAWA刊)の中で、著者の小山竜央さんは、
・思考力と集中力の低下
・コミュニケーション能力の低下
・目標や夢に向かう気力の減少
といった、スマホ中毒の弊害を挙げている。特に10代~20代を中心とした若者の中には自身の誕生日を忘れる人も出てきているという。
世界中の情報に瞬時にアクセスできるため、記憶力の必要性が薄れ、ことあるごとにスマホを触ることで、じっくり物事を考えることもなくなっていく。
また、コミュニケーションの中で文字情報の交換の比重が大きくなることで、実際に誰かと対面した時、五感をフルに使って相手の気持ちや状態を推し量る能力が鈍る。
さらに、スマホを見ることで脳は容易に刺激を得ることができるため、夢や目標の実現という、より大きな刺激を求めなくなくなる。
これらが重ることで生じる人生への悪影響がいかに大きいか、想像がつくのではないだろうか。
■社会現象になった割に高くない「ポケモンGO」の依存性
では、なぜこうも度々スマホに触ってしまうのか。「ゲーム」は私たちに逐一スマホを手に取らせる誘惑の一つだ。
人気スマホゲームの代表格といえば、社会現象になるほどのヒットとなった「ポケモンGO」だ。しかし、小山さんによると、このゲームの依存性はさほど高くないという。
その理由は、脳の快楽物質であるドーパミンだ。
人は、短いスパンでドーパミンが出るほど強い快感を覚えるが、ポケモンGOの場合は、街を歩きまわってポケモンを見つけ、捕獲するため、時間と労力がかかる。その割に、ポケモンを集め、戦わせることで得られるドーパミンは少ないのだという。
加えて、ユーザー同士のコミュニケーション要素もゲームの依存性を左右するが、この点でも現状のポケモンGOは弱い。これであれば、ゲームとしての回転速度が速い「パズドラ」や「ツムツム」の方が依存性が高く、危険が大きいようだ。
ただ、「ポケモン GO」の大きな特徴である、モンスターボールを指ではじいてポケモンに投げる動作は、これまでのゲームにはなかった動きだ。この動作が脳への新しい刺激となって、スマホ依存に繋がる可能性を小山さんは指摘している。
さらに、追加間近と言われるユーザー同士のポケモン交換機能が実現したら、このゲームのコミュニケーション要素は一気に上がることになる。そうなった時、ポケモンGOに強力な依存性が生まれるのかもしれない。