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相手の気持ちを徹底的に想像する… 一流CAから学ぶ「心づかいの極意」

新刊JP

 ある大手自動車メーカーの経営者が搭乗した際、フライト中に鼻血を出してしまい、着ていたYシャツを汚してしまったことがあったという。

 着替えようにも、衣類はスーツケースの中。飛行機を降りない限り手に入れることはできない。そこで担当CAはファーストクラスのリラクシング・ウエアに着替えるよう促し、機内で汚れたシャツを洗って、しわにならないようしっかり伸ばしてコートルームに吊るした。乾燥している機内ではシャツも到着までにすっかり乾き、その経営者に渡すことができた。

 これだけでも立派な心づかいだが、本題はここからだ。

 無事に乾いたシャツを受け取った経営者は、応対したCAに「僕はどうやってあなたに感謝の気持ちを示せばいいのだろう?」と声をかけたという。

 すると、CAはこう言った。

「では、私の自宅に○○(経営者の会社の新車の名前)をお届けいただけますか?」

 この言葉のスゴさがわかるだろうか。大の大人が多くの人がいる中で鼻血を出し、汚れたシャツを洗ってもらったのだ。バツが悪いに決まっている。

 もし、このCAが「お気になさらないでください」というだけだったら、このお客はバツが悪いままだっただろう。そうではなく、そのバツの悪さを絶妙な加減で利用した冗談を返すことで、彼の心の負い目を軽くしようとしたのである。

 また、偶然乗り合わせた乗客の会社の新製品を知っていた点にも注目だ。搭乗してきたお客とのコミュニケーションを円滑にすることを目的として、日ごろから幅広い知識を得ようとさまざまな努力をする姿勢は、あらゆるビジネスの場においても見習うべきところだろう。

 さらに、顧客に対して冗談を言えるだけの関係をフライト時間の中だけで築いていたことも含めれば、この冗談には心づかいが三重に組み込まれているのだ。

◇  ◇ ◇

 江上さんの提唱する心づかいには「正解」がなく、それだけに一朝一夕に身につけるのは難しいかもしれないが、明日から実践できることばかりだ。その上、想像力次第で相手に感動を与えることもできる。

 ここで取り上げた例はCAの仕事の現場のものだが、相手の立場に立って考える想像力はどんなビジネスでも通じるもの。本書は「心づかい」を「7つの原則と30の習慣」という具体的な事例を交えて解説している。そこで明かされる「心づかいの極意」は、職業や老若男女を問わない、目からウロコが落ちる発見と学びの多い一冊となるだろう。

(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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