帝国データバンクによると、新型コロナウイルス関連倒産は、全国で602件(2020年10月12日現在)にのぼる。固定費削減、リストラ、支払い猶予など、非常に困難な状況にいる中小企業、零細経営者や個人事業主は数えきれない。
そんな方々のために、もうダメだという時の倒産や債務整理、事業譲度、感染防止やリモートワークなどのウィズコロナ時代の新たな経営環境、収まった時の新たなビジネスチャンス、経営統合やM&Aも含めた再建方法を紹介するのが、本書『公的資金で生き残る! 倒産してラクになる!創意工夫で再生する! コロナ大不況で「経済死」しないための本』(大和竜一著、扶桑社刊)だ。
■コロナ禍の経営悪化 経営陣はまず自分の腹を切れ
著者の大和竜一氏は、新潟県老舗酒造メーカーにて代表取締役社長として企業再生を行い、新型コロナウイルス問題が発生した当初は首都圏の中堅美容室グループのマネジメントとして様々な対応を主導するなど、投資担当者、社長として、数々の企業に経営再建を行ってきた中小企業再生ドクターである。
いっぺんに600人の社員の解雇を打ち出したタクシー会社まであるように、新型コロナウイルスの影響で人件費が重荷となり会社の存続が厳しくなってしまう。このような場合、どうすれば人件費を抑えられるのか。
まずやるべきは、経営者をはじめとした役員、幹部社員の給与カットである。まずは自分たちの腹を切れ、というわけだ。
ただ、それだけでは乗り切れないことも当然ある。その場合は社員に休業命令を出すことになるが、平均賃金の60%以上の休業手当を補償した上で休んでもらい、国から「雇用調整助成金」を受給する方法をとることになる。事態がより深刻になってしまったら、従業員に対する給与額交渉をする必要がある。
それ以上に従業員に苦労を強いることになるのは整理解雇である。ただし、会社側も簡単には解雇できない。これ以上、経営が立ち行かず、人員整理が不可欠であるという必要性、解雇をできるだけ回避したという証拠、さらに従業員本人や労働組合との合意がなくてはならない。
いくつかの会社でリストラを余儀なくされた経験のある大和氏は、人件費削減のために、安易に解雇をするのは会社の士気減退にもつながるため、ギリギリまで手をつけずに我慢すべき。それよりも、給与以外の経費、経営者に関する経費削減を第一に考えるべきだとしている。
大和氏自身も、関西地方の中堅製造メーカーであるパナレーサー株式会社代表取締役社長として、会社経営に携わっている。大和氏がこれまでの数々の経験から見つけ出したノウハウは、コロナ大不況に直面している経営者・個人事業主の強い味方になってくれるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。