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倉山氏自身も、この「生前退位」について違和感を持っていたという。
だからといって「譲位」を使わないメディアに対して罵る気はまったくなく、「言葉の問題」であると述べる。
――「譲位」と「退位」は、どう違うか。これは言葉の問題です。
退位は自らすることもあれば、他人にさせられることもある。譲位は絶対に自分ですることを前提にした言葉です。とはいうものの、政治的に強制される譲位の例というのは、我が皇室でもごまんとあるわけです。(書籍P154より引用)
以上が倉山氏の見解だ。
そもそも現行憲法下では、「一世一元の制」であるため、自分の意思で譲位することはない。だから、現行法でいうならば「退位」という言葉の方が正しくなるはずだ。もちろん、新しい法案においては「譲位」であるべきだろう。
著者がむしろ問題視しているのは、「生前退位」という言葉に対する言葉狩りだ。「皇室を想う気持ちはわかりますが、そんなことを陛下が望むとでも思っているのでしょうか」と苦言を呈している。
◇
日本は「先例」を大事にする国である。これまで積み重ねてきた歴史を大事にする文化があり、本書もその「先例」に基づいた議論を展開している点が特徴の一つだ。そして、皇室の歴史を振り返りながら、三つの疑問に取り組んでいる。
一、なぜ、天皇は必要なのか。
二、なぜ、皇室は一度も途切れることなく続いてきたのか。
三、そもそも天皇とは、そして皇室とはなんなのか。
このシンプルな問いに答えられる人はそう多くはないはずだ。
倉山氏が「平成二十八年八月八日、陛下のおことばから、何かが静かに動き出したようです」と語るように、「お気持ち」表明は国民が天皇という存在に改めて思いをいたす契機となった。女系、女帝、旧皇族の皇籍復帰の是非をはじめ、近現代における天皇の存在について、「二百年に一度の大事件」を経験する日本人が知っておくべき内容である。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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