そんな中、銀座で30年以上の歴史を持ち、今なお連日、常連客で賑わいをみせているのが「クラブ由美」だ。今回は同店オーナーママで、4月に『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人』(ワニブックス)を上梓した伊藤由美氏に、
「銀座の高級クラブという世界の裏側と、経済環境」
「30年以上も数多くの常連客に愛され、人気を保ち続ける秘訣」
「出世する人の共通点、出世できない人の共通点」
などについて聞いた。
–こちらのような高級クラブには行ったことがない、という人がほとんどだと思いますが、一言で言うとどういう場所なのでしょうか?
伊藤由美氏(以下、伊藤) 銀座のクラブにはお店ごとにカラーがありますが、共通しているのは「社交場」だという点です。お客様は通うことで常連さんになり、お店からも大事にされて、そうやって初めて他のお客様との人脈や人間関係ができていきます。「サロン」に近いものがあると思います。
–お客様には、どういう方が多いのでしょうか?
伊藤 単純に「銀座のクラブに行きたいという取引先がいるので、お連れするから接待を頼みたい」というように、ビジネスの目的で使う方もいらっしゃいます。そのような目的で大事な方をご招待する場合、知らない店には行かないじゃないですか。いい顔をするためには、ある程度そのお店にも貢献していないと、格好をつけられないですよね。接待するなら気の置けない店で意思の疎通ができていて、なおかつそのお客様を大切にしてくれるお店を選ばれると思います。ですので、銀座のクラブというのは単に女性との出会いを求める場所ではないということです。
一方、キャバクラは女性との出会いの場とされ、若い女性との会話を楽しみ、はしゃいだりしてストレスを解消するという、お遊び的な面が強いのではないでしょうか。当店のような老舗の銀座のクラブは、仕事の場として使う方が多いです。
–ちなみに、常連客の紹介などがない人が、いきなり電話で予約して利用することはできるのでしょうか?
伊藤 当店は「一見様お断り」ですが、どうしてもと言う方には、あらかじめ料金システムをお伝えし、お越しいただく場合もあります。しかし、クラブを利用したことがない方や、どのような場所なのかを知らない方のその場に好ましくない振る舞いなどで、和気あいあいと楽しんでいる常連様のご気分を害するような可能性は、できるだけ避けたいので、基本的には常連のお客様のご紹介が必要です。