仕事でもプライベートでも、私たちは日々何らかの形でコミュニケーションという「伝え合い」をしている。この伝え方の新たな進化として挙げられるのが「あざとい」だ。「あざとい」と聞くと「ズルい」「ごまかし」のような印象を受けるが、あざとさがあるから伝え合いができる。コミュニケーションを継続させるために伝え方を進化させたものが「あざとい」伝え方とするのが、『「あざとい」伝え方入門』(日本経済新聞出版刊)の著者である山本御稔氏だ。
本書では、心理学、行動経済学といった学問分野と山本氏の経験をもとに、「あざとく」進化する伝え方を紹介している。
成功するプレゼンの4つの要素とは
伝える力が必要となる場面はさまざまだが、プレゼンテーションの場はその一つ。そこでプレゼンを成功させるためのポイントが、認知心理学からの4つの要素だ。
1.非抵抗型(言うこと聞きますプレゼン)
相手の言い分に抵抗せず、それを認める方法。強要はしないであっさり引き下がるやり方。
2.強引型(押し売りプレゼン)
「買ってくれるまでここを離れない」といった売り込み方法。あつかましい売り方のため、あつかましさに否定的な日本人には肯定されにくい。
3.抵抗型(意地っ張りプレゼン)
相手の気持ちや想定を考慮せずに、こちら側の欲求だけを要求するやり方。
4.助力型(泣き落としプレゼン)
欧州や米国では通用しないが、日本人は比較的泣き落としに弱いとされる。とくに若い人の泣き落とし攻撃は、年齢が高い層には効果的。
本書によると、上手なプレゼンはこの4つの要素が合体した形となる。「非抵抗型」では相手の希望に寄り添い、「強引型」では販売目的を強く示す。そして、「抵抗型」は欲求の強さを購入側に知らせ、「助力型」は助けを求めることで心理的な圧力を与える。相手から複数の要求が同時に提示されたとき、これら4つの要素が合体すると、簡単には反対する理由を見つけることが難しくなる。これが、認知心理学が見出した上手なプレゼンといえる。
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心理学、行動経済学をもとに、さまざまなシチュエーションでの伝え方のコラムを紹介している本書。どのようにすればうまく伝わるか、本書の掲載されているテクニックを日々のコミュニケーションでも実践してみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。