著:枡野俊明 /河出書房新社
私生活であった嫌なことを引きずって、仕事に影響が出てしまったり、仕事上の心配事が原因で、プライベートでは何も手につかなくなってしまったり、といった経験はないだろうか。
心を乱された状態が長く続いてしまうと、やるべきことに集中して取り組むことは難しい。どんなことにも動じない「心」は、習慣を変えることによって習得することはできるのだろうか。
『怒らない 禅の作法』(枡野俊明/著、河出書房新社/刊)には、常に落ち着いた心で、穏やかに過ごすための心の持ち方が解説されている。前回は、怒りや苛立ちを感じた時の対処法を紹介したが、今回はそれらの感情にとらわれない心を作る方法を取り上げる。
■「いい子」をやめる
不満があっても口に出さず、「いい子」を演じることで周りから愛されたい、みんなと仲良くするために角を立てたくない、背伸びをして自分を良く見せないと人に負けてしまう…。
こんなちょっとした背伸びや我慢が、心には大きなストレスとなる。普段はそのストレスを意識することはないが、小さな我慢を日々積み重ねていると、物事がうまくいかない時やふとしたきっかけで、それまでこらえていた感情が、怒りとなって噴き出してしまうこともあるだろう。
そんなことにならないためには、気取りや、へりくだりを捨て、「いい子」でいようとするのをやめること。
どんな時も自然体を意識することが、常に心を安定させておくコツだ。
■「もっと良くしよう」が執着を生む
仕事でも私生活、または自分の容姿や若さに至るまで、私たちは「もっとほしい」「もっと良くなりたい」と望みがち。
それが向上心としてうまく回っているうちはいいが、こうした欲望が執着に変わると、「ほしいものが手に入らない焦りや苛立ち」として、自分自身を苦しめてしまうことがある。
もっと幸せに生きるための欲望に振り回されてしまっては元も子もない。
欲を完全に捨てることは不可能だが、「足るを知る」という言葉があるように、今与えられているものに感謝する心を忘れなければ、心穏やかにいられるものだ。
■「自分がすべて正しい」という思い込みを捨てる
私たちの誰もが、「自分は正しい」という思いをどこかで持っている。
しかし、どんなに自分が正しいと思ったことでも、しょせんは自分一人の意見であり、自分だけの立場、価値観に基づいたものに他ならない。そんな意見を振りかざして他人と対立し、争うよりも、一度自分の立場を捨て、相手の立場に立って物事を見る習慣を身につけると、人間関係は今よりもずっと楽なものになるはず。そして、それはきっとあなたの心の安定にもいい影響を与えるだろう。
今回紹介した内容は、どれも普段から心がけていれば自然にできるようになるものばかり。本書には、心を安定させて過ごすための気持ちの持ち方や、呼吸法、習慣なども綴られており、周囲の人や環境からくる怒りや苛立ちに振り回されがちな人の助けとなってくれるはずだ。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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