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地域経済活性化支援機構の初仕事は紅乙女酒造の救済

ゾンビ企業を延命させる税金のムダ遣い!? 地域支援機構が中山製鋼所を支援

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明太子をつまみに一杯。
(「紅乙女酒造HP」より)
 アベノミクスの第3の矢、中小企業の支援策が始動した。主役は官民ファンドだ。

 辛子明太子の元祖、ふくや(福岡市、川原正孝社長)が3月21日、経営不振に陥っていた焼酎メーカーの紅乙女酒造(福岡県久留米市、磯野修社長)を買収し、完全子会社にすると発表した。中小企業の事業再生を支援する官民ファンドの地域経済活性化支援機構(以下、地域支援機構。瀬谷俊雄社長)は、紅乙女酒造の再生を支援するスポンサー企業にふくやを選定した。

 地域支援機構は企業再生支援機構が改組して3月18日に発足した。再生支援の第1号が紅乙女酒造だ。

 紅乙女酒造は1978年8月、地元清酒会社の出資により設立された焼酎メーカーでゴマを原料とした「胡麻焼酎紅乙女」を販売。04年当時は年商25億円をあげていたが、焼酎ブームが去って販売が低迷。11年12月期の売り上げは16億円にとどまり、債務超過に陥っていた。

 ふくやの創業者、故・川原俊夫氏は辛子明太子を発案したことで知られる。辛子明太子の製造技術を博多の同業者に教え、博多が辛子明太子の特産地として全国に有名になるきっかけをつくった人物である。

 ふくやは福岡銀行系のファンド、福岡キャピタルパートナーズなどから紅乙女酒造の全株式1000株を1株当り1円で取得し、9月にも子会社にする。ふくやの通販サイトなどで胡麻焼酎を販売する。地域支援機構は銀行から債権を買い取り、5年以内の再建を目指す。

 続いて3月28日、独立系鉄鋼メーカー、中山製鋼所に対する支援を決定した。中山製鋼所は債権者と協議して負債を削減する私的整理で再建を進める。藤井博務社長は経営責任を取って辞任し、後任の社長には東洋鋼鈑の元専務、森田俊一氏が6月18日付けで就く。

 再建計画の枠組みは、三菱東京UFJ銀行など取引銀行40行が602億円の債権を放棄する。筆頭株主の新日鐵住金や日鉄商事、大和PIパートナーズ、阪和興業、エアー・ウォーター、大阪ガスが90億円規模の第三者割当増資を引き受ける。地域支援機構は金融機関から一部の債権を買い取る。

 1919年創業の中山製鋼所は官営八幡製鐵所(現新日鐵住金)、日本鋼管(現JFEスチール)に続き高炉を作った老舗企業。鉄鋼不況の02年以降は高炉を閉鎖し、電炉メーカーとして経営再建を目指してきた。

 12年春に銀行からの借り換えが円滑に進まなかったことから経営危機が表面化した。リストラを重ねたが、13年3月期の連結最終損益(予想)は570億円の赤字と、3期連続で赤字計上を余儀なくされたことから、自力再建を断念した。

 中山製鋼所は新日鐵住金に社長派遣を含む支援を求めたが、新日鐵住金は「持ち分法適用会社にはできない」とこれを拒否した。今回、第三者割当増資を引き受けると新日鐵住金の議決権株式の比率は19.8%に上昇するが、関係が深まるかどうか疑問視する向きが多い。

 中山製鋼所は再建できるのだろう。4月からは関西電力の値上げが経営に重くのしかかっている。電炉メーカーは経費の約3割を電気料金が占める。原材料の鉄のスクラップ価格が1月以降急騰したことが追い討ちをかける。

 国内には約40の電炉が乱立している。東京電力、関西電力、九州電力などの電気料金の引き上げが引き金になり、今後、数年で再編が一気に進み、現在の半分以下に減る可能性がある。中山製鋼所は単独での生き残りを目指すことになったが、「これが終わりの始まり」との見方で一致する。中山製鋼所が再編の起爆剤になる、という意味だ。

●地域支援機構の舞台裏

 アベノミクスの第3の矢は官製マネーを呼び水にして、滞留した民間資金を成長分野に振り向けるというというものだ。主役は官民ファンド。中小企業支援策の大きな柱を地域支援機構が担う。