「お笑いBIG3」の一人であり、映画監督として世界から注目を集めるビートたけしさん。ご存じの通り、70歳になった今も第一線で活躍し続けている。
そんなビートたけしさんが、初の純愛小説を書いたとして話題になっている。タイトルは『アナログ』(新潮社刊)。9月22日に発売して以来、順調に売り上げを伸ばし、10月16日には10万部を突破した。
その気になるあらすじを少しだけ紹介しよう。
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主人公は建築デザイナーの水島悟。木曜日の夕方、喫茶店「ピアノ」を訪れた悟は、みゆきという女性と出会う。偶然会って話しただけだったが、悟はみゆきに好意を抱くようになる。
ただし、悟はみゆきの住所も仕事も電話番号もメールアドレスも知らない。知っているのは、みゆきの休みが木曜日で、夕方に「ピアノ」に来るということだけだった。こうして2人の「アナログ」な関係が始まるが……。
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水島の友人の高木と山下の飲み屋での漫才のような会話は、「さすが、ビートたけし!」と思わせてくれるだろう。また、これは読者の臆測でしかないが、悟の言動から、世間や物事に対するビートたけしさんの考え方が垣間見えるような、そんな想像をしてしまう。
いつでも、どこでも、SNSで人と繋がることができる便利な時代だ。しかし、どこか味気なさがあるのも事実だろう。
悟は「木曜日の夕方にピアノで会えるかもしれない」と、みゆきのことを想いながら、木曜日を待ち遠しく、一週間を過ごす。そこには、スマホやSNSは介在しない。
「お互いに会いたいと思う気持ちがあれば、絶対に会えますよ。だって、ピアノに来ればいいんですもの」というみゆきの言葉は、恋愛の本質を突いているようにも思える。
10代、20代の若い世代は新鮮に、携帯電話のない時代に恋愛をしていた世代は、アナログな恋愛を懐かしく思えるのではないだろうか。
(ライター/T・N)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。