頑張って頑張ってやったのに結果が出なかった場合、真面目な人ほど、もっと頑張ろうとして自分を苦しい状況に追い込んでしまうものだ。
そんなとき、「できません」「嫌です」と言えれば、もっとラクになれるはず。そういう心を持つにはどうすればいいのだろうか。
『「つらいから、会社やめます」が言えないあなたへ』(心屋仁之助著、宝島社刊)は、心理カウンセラーの心屋仁之助氏による、毎日頑張っているのに報われないと悩む人たちへの処方箋が詰まった一冊だ。
手を抜くこと、人に迷惑かけてでも断る、というのは、実際なかなか簡単にできるものではない。そのために、本書では「頑張らない人」になるためのトレーニング方法を紹介している。
■「努力は裏切らない」はウソ。もっと他者を信じよう
「サボること=悪」、そして「努力は人を裏切らない」。よく言われることだが、心屋氏は「努力は裏切らないはウソっぱち」と述べる。楽しく仕事をするために大切なことは「運」なのだ。
運とは、言い換えれば「他力」。経済的にも豊かに楽しく暮らしている人たちは、周囲の人に頼ったり、甘えたりして「他力」によって生きている。そして、「自分の頑張る力」を過剰に信じてはいないからこそ、他力を頼ることができる。
心屋氏自身も、自分の力だけで頑張ろうと気を張り詰めていた頃よりも、周りを頼り、迷惑をかけ、甘えている今のほうがずっと運が良くなったと感じているという。
「他人を頼るのは情けない」という考えは忘れ、「自力で頑張るのは水くさい。他人を頼るのは、人を信じるすばらしいこと」と考えると、運もアップするのだろう。
■キャパシティが狭くてもいいじゃない
「仕事を断る」ということは、なんでも引き受けてきた人にとって、ハードルが高いこと。しかし、勇気を出して最初の1回を断ることで、悪循環から抜け出し、「頑張らなくても大丈夫」という幸せな循環が回り始める。
断ってばかりいたら「キャパシティが狭い人」というレッテルを貼られてしまうかもしれない。しかし、無理してキャパシティの広い人を演じる必要はない。無理して仕事を引き受けた結果、本当にキャパオーバーしてしまったら、もとも子もない。また、罪悪感なく頼んでくる人は、多少嫌な顔をされても、そういう人は根に持たないので大丈夫なのだと心屋氏は述べる。
また、嫌われることを恐れて、断ることができない人もいるだろう。そんなときは「嫌われても大丈夫」という「根拠のない自信」を持つこと。これで、心屋氏は「嫌です」と言えるようになったという。
頑張り過ぎて心身ともにボロボロになってしまう前に、「頑張らない」ことで自分らしく生きる術を身につけることも必要なのだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。