この1年ほどの間に、新型コロナウイルスの影響で急激に働き方が変わったという人は少なくないだろう。では、今後、私たちの働き方はどうなっていくのだろうか。
『ワークスタイル・アフターコロナ』(松下慶太著、イースト・プレス刊)は、メディア・コミュニケーションとワークショップ・デザインの視点から大学で「働き方」について研究している関西大学社会学部教授の松下慶太氏が、アフターコロナにおいてどのようなワークスタイルになっていくのか、またそれをどのように探っていくのか、向き合っていくのか、を考えていく一冊である。
このコロナ渦で働くことに関する「5W1H」を改めて問われることになったと松下氏は述べる。
どういうことか。「誰が(Who)」「どこで(When)」「何を(What)」「どうやって(How)」そして「なぜ(Why)」働くのか。これが問われているというのだ。
数カ月に及ぶコロナ渦での生活は、今までのワークスタイル、ワークプレイスに対する当たり前を揺さぶった。そして、テレワーク、リモートワーク、買い物、人と会うことなどを含めて、半強制的に社会実験にもなった。
今後は、オフラインを中心としてオンライン空間を拡張していくというよりも、オンラインを中心としてオフラインも含めた経験をつくっていくことに注力していく時期が続くことが予想される。
今後、主流となっていくと松下氏が述べるのが、「ハイブリット」なワークスタイルだ。
これまで東京への一極集中の状況が続いたが、コロナ渦によるテレワーク、リモートワークにより、東京から逗子や鎌倉など近郊の自然・文化的に豊かなところへ居を移した人も少なくない。本社機能を地方へ移転した企業もある。
ただ、現時点では、東京から一気に人や企業の大量流出が起こるとは考えにくい。現実的には今後、テレワーク、リモートワークを拡大させていくのは、ハイブリットなワークスタイル、ライフスタイルになるだろう、と松下氏は予測する。
具体的には、「都市部に住みながら定期的に地域に滞在する」「地域に住みながら定期的に都市部に滞在する」ということ。いわば、日常と非日常を往復するスタイルだ。
テレワーク、リモートワークは都市部と地域のどちらかだけで暮らすことを実現するのではなく、双方を行き来しながら日常と非日常を実現させるものであるということだ。
コロナ渦はワークスタイルについて考えるきっかけ、変わるきっかけにもなった。本書から、もう一度働き方を考えてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。