NHK広報局…約2,081,000
SHARP シャープ株式会社…約451,300
セガ公式アカウント…約311,900
(いずれも3月2日現在)
これらの数字、何を示しているのか分かるだろうか。
答えはツイッターのフォロワー数である。NHK広報局のアカウントはなんと200万人を超えるフォロワーがいる。200万といえば、日本国民の60人に1人となる数字である。もちろん一人で複数のアカウントを運用するケースも多く単純に「日本国民の60人に1人が」とは言えないが、とはいえ膨大な数だ。
しかし、こうしてSNSを活用したブランディングや情報提供に成功している企業は一握りである。多くの企業は「フォロワー数が増えない」「何を発信していいのか分からない」「炎上が怖い」などの様々な壁を乗り越えられないでいる。
ここで紹介する本はSNSの入門書である。
林雅之氏による『デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール(MarkeZine BOOKS)』(翔泳社刊)は、そうした悩める企業の経営者や広報担当者のためのハンドブックだ。
■これからの広報・広告の舞台はSNSへ?
企業がSNS戦略に失敗してしまう理由の一つは、SNSの力をまだあまり信用できていない部分があるからだろう。
データを見てみるとよく分かるが、社会はこれからよりSNSへの移行が強まっていくことになる。
総務省情報通信政策研究所「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、平成28年の平日の「ネット利用項目別平均利用時間」は全世代的にメールがトップ。仕事の時間を含めるのだから、当然といえば当然だろう。
しかし、年代別にみるとメールは30代以上の文化であり、10代、20代は「ソーシャルメディアを見る・書く」が圧倒的にトップになる(10代は平均58.9分、20代は平均60.8分をソーシャルメディアに費やしている)。
近年ではメールを使わずにSNSで仕事の連絡をする人も増えている。そこにいけば自分にとって必要な情報がある場所になっているのである。
また、休日のデータになると、「ソーシャルメディアの利用」は30代でもトップになる。SNSの利用時間は30代までのどの世代においても、ブログ・ウェブサイトの閲覧執筆や、動画、ソーシャルゲームの時間よりも長い。
これからの消費を担う世代は、SNSの虜となっているのだ。
また、インターネットで当たり前とされていた「検索」という行動すらも変わりつつある。インスタグラムでは「#〇〇〇」というハッシュタグと呼ばれるものが鍵を握る。試しに「#ラーメン」というハッシュタグをクリックすると、美味しそうなラーメンの画像が大量に出てくるだろう。
サイバー・バズ社の調査によれば、20代の女性の約6割がハッシュタグによる検索をきっかけに商品を購入したことがあるという。
こうした時代においては、企業側がSNSを通じて自社イメージやブランドをデザインする必要があり、率先して打ち出す必要が出てくる。SNSを使わずともビジネスが成立する企業はかなり限られる。そんな時代になりつつあるのだ。