優秀なリーダーになるために必要なもの。それは「言葉」だ。
孫正義、イチロー、三浦知良、出光佐三…こうした業界を牽引するリーダーは「ついていきたい!」と周りが思うような言葉の力を持っている。では、彼らはどういった言葉で仲間や部下をやる気にさせ、牽引しているのだろうか。
それぞれの分野で名を成したリーダーたち77人の言葉を厳選した一冊『リーダーとは「言葉」である 行き詰まりを抜け出す77の名言・名演説』(向谷匡史著、青春出版社刊)を読むとそれが分かる。
■不安を払拭する孫正義の言葉
「雨と晴れは必ずやって来る。大切な事はその両方を幸運だと捉える心構えだ」
こう述べるのは、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏だ。
ソフトバンクグループは世界のベンチャー企業に8兆5千億円を投資する一方、2020年には営業損益が1兆円を超える赤字になるといった報道が飛び交った。そんな恐ろしい数字を前にしても、淡々と現状を受けとめ、心構えができるのが孫氏だ。
部下はリーダーの顔色をうかがい、言葉に耳をそばだてる。平然として動ぜずの孫氏の言葉が、部下たちの動揺と不安を払拭する。人間である以上、リーダーも迷い、不安もある。けれど、普段から「晴れてもよし、雨が降ってもよし」という心構えがリーダーには求められる。
■困難な目標をポジティブに捉えるイチローの言葉
「壁というのは、できる人にしかやってこない。超えられる可能性がある人にしかやってこない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている」
これは元プロ野球選手のイチロー氏の言葉だ。イチロー氏のメンタルはなぜ強いのか。完璧な準備、ルーティン、アスリートとして徹底した自己管理のほかに、その言葉を丹念に拾っていくと「ポジティブ」という思考に行き着く、と本書の著者である向谷氏は述べる。
壁にぶつかった場合、「ひるむな!」「挑戦しろ!」と叱咤することは、精神的なムチであり、ネガティブな反作用を伴う。一方、イチロー氏は叱咤などしない。「壁というのは、できる人にしかやってこない」と言い聞かせるのだ。
困難な目標をポジティブに捉え、不安は前向きに考える。悲壮感や精神的な動揺がない。それがイチロー氏といえるだろう。
本書に登場するリーダーたちの言葉の数々は、実際に自分がリーダーになったときに、チームを言葉でまとめるときの参考にもなるだろう。また、リーダーたちの言葉に元気や勇気をもらえるはずだ。
どんな言葉をどう使うか。リーダーに必須な「言葉」のレパートリーを本書で増やしてみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。