丁寧に話していたはずなのに、間違った敬語を使った結果、相手に対して失礼になってしまった。気づかぬうちに相手を嫌な気持ちにさせてしまった。そんな経験を持っている人はいるのではないだろうか。
言葉遣いは印象を大きく左右する。悪気もないのに失礼な言い方をしてしまったり、意識しているはずが間違った言い方をしてしまっては、損をするのは自分自身である。
言い方で失敗をしないためにはどうすればいいのか。
そこで読んでおきたいのが『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(吉田裕子著、総合法令出版刊)だ。
■人に謝るときに使ってはいけない禁句とは?
本書では、普段何気なく使う日本語に潜む「もったいない間違い」のフレーズを取り上げ、「ここを直せば、もっと良くなる」と添削し、ものの言い方からマナーや人付き合いのノウハウを解説している。
たとえば謝罪をしなければいけない場合、やってはいけない謝罪がある。それは、相手の怒りの火に油を注ぐような謝罪だ。このシチュエーションでは、禁句がいくつかある。
「しかし」「でも」「だって」だ。
こちらに何らかの事情があるにせよ、「申し訳ありません。しかし…」と話し始めると、それは言い訳になり、相手からしたら反省していないように感じる。
「申し訳ありません」の語源を見ると、「申し訳」は「申す→言う」なので「言い訳はない」となる。言い訳もないほど、自分に非があることを潔く認めるという意味なのだ。だから、「申し訳ありません』の後に、言い訳を続けること事態、語義として矛盾している。それを考えれば、言い訳はおかしいといえる。
■過剰な敬語で相手の印象を損なうかも?
敬語は相手を敬うために使う言葉だが、気を使いすぎて敬語が過剰になってしまうと、かえって印象が悪くなってしまう場合がある。
たとえば、「何とおっしゃられましたか?」は、過剰敬語。現代語では、二重敬語は認められていないからだ。「言う」を「おっしゃる」に改めれば、それで十分に尊敬語になる。なので、「おっしゃられる」とさらに敬語を付け加えるのは不適切というわけだ。正しくは「何とおっしゃいましたか?」となる。
他にもやってしまいがちな二重敬語は「お召し上がりになる」「お越しになられる」「ご覧にぬられる」などがある。丁寧な言葉遣いを使おうとするばかりに、知らぬ間に間違った言葉遣いをしてしまうこともあるので注意したい。
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自分がうっかり使っている「もったいない日本語」を見つけたら、本書から言い換え表現を身につけて、「大人の言い方」をビジネスや日常生活で使ってみる。そして、日本語の使い方に疑問が出てきたら、本書に戻って確認する。書籍とビジネス現場と往復しながら、「大人の言い方」を身につけようというのがこの本だ。
「大人の言い方」を学べば、コミュニケーションももっと円滑にとれるようになるだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。