また、人と接する商売なので、コミュニケーションの取り方にも重きを置いています。昨今、業界全体が接客重視になり、サービス業として変化しています。それに対し、自分たちがどう考えて治療にあたるかということが求められている時代で、そういった点を当社は大事にしています。ただ、患者さんや選手との距離感を教わるのはなかなか難しいので、スタッフそれぞれが肌で感じながら学んでいると思います。
–マッサージを行う際の方針というものは何かあるのでしょうか?
小原 1つの症状に対しても、アプローチの方法が無限にあるので、会社全体の方針というよりも、スタッフの感覚や考え方次第になると思います。その分、やりがいがあるし、追求していけば限りがなく、面白いですね。やればやるほど、次の課題が見えて、向上していっていると思います。
一般的に、治療院で働く人はそれなりのお金と時間をいただくので、シビアに結果を出さないといけないというプレッシャーや使命感があると思います。来ていただいた時よりも、明らかに痛みを和らげないといけないという使命感。満足しないと、次は来ていただけないと思いますから。よりよいものを提供しようというマインドは高いと思います。
–これまで、特に印象に残っていらっしゃる経験はありますか?
小原 私どもが、選手と監督との間に立ち、双方の思いを伝えるフィルターになってあげることができればと考えております。そういった意味で、チームの一員として、やりがいを感じています。
–反対に、今までのお仕事の中で、悔いが残っている経験は?
小原 痛みの部分をサポートしきれず、それがきっかけで引退していく選手を見ると悔いが残ります。選手は誰でも痛い部分を抱えていて、特に陸上選手は足、腰、座骨神経痛で苦しんでいる人が多いですね。私も座骨神経痛がきっかけで引退しました。
–マッサージ師としての醍醐味は何でしょうか?
小原 マッサージ師は、力のある男性が有利と一概には言えないところがあります。お客様によっては、むしろ女性のほうが指が細いので、アイスピックのようにピンポイントでいい部分に入るのでいいと言われたりします。またそれとは逆に、指が刺さりすぎて痛くなるというお客様もいらっしゃいます。私の選手時代にも、筋肉の触り方などの面で、マッサージをしてくれる方との相性が合わないと思うこともありました。つまり、相性がとても大切な仕事だと思っています。マッサージをする側は、お客様の反応を常に見ながら治療しなければならず、とても奥が深いと感じています。