今年も残すところ3週間。新型コロナウィルスの感染拡大やオリンピック開催など、印象深い出来事も多かった2021年のベストセラー本といえば『人は話し方が9割』(永松茂久著、すばる舎刊)だ。
2019年9月に出版された本書だが、日販調べの2021年年間ベストセラーランキングで総合1位を獲得。トーハン調べの2021年ビジネス書年間ベストセラーランキングでも第1位に輝いており、2年以上にわたって売れ続けているロングセラー作品となっている。
そんな本書には、話下手に悩む人たちが知るべき内容が書かれている。話下手を直すために、無理に話し方を修得したり、言葉を勉強しなくてもいいというのだ。
では、自分の話し方を変えるにはどうすればいいのか。それにはまず話し方の「根幹」にメスを入れることが大事だ。ここでは、本書からその基礎となる考え方を紹介していこう。
「自分は話し方が下手」と思っている限りは話し上手にはなれない
話が上手い人と下手な人。その差はどこから生まれるのだろうか。著者の永松氏は、「自己肯定感」であると述べる。
「自分には価値がある」と自分を肯定できていると、自信たっぷりに話すことができる。その一方で、「周囲の人からどう思われているのか分からない」となかなか自分に自信が持てない人は、話し方にも自信のなさが投影されてしまう。
つまり、「自分は話し方が下手」と思っている限りは、それを克服することはできないのだ。
話せるようになる「3つのコツ」とは
では、そうしたメンタルから抜け出すにはどうすればいいのだろうか。本書では「3つのコツ」があげられている。
1つ目のコツは「否定禁止」だ。
何かを発言をしても否定的な言葉が返って来ると、だんだん発言したくなくなる。一方で、どんな発言をしても肯定的に受け取られる環境であれば、発言のハードルがどんどん下がっていく。
自分も相手も「否定」を使わないこと。それが自由に発言できるモチベーションを高めるのだ。
2つ目のコツは「笑顔でうなずく」というもの。
発言に対して、笑顔でただ縦に首を振る。これだけでも場はポジティブになる。自分の話を聞いてもらっているという安心感が高まり、話す力が引き出される。
3つ目のコツは「プラストーク」。
前向きな話は人を元気にし、エネルギーを高める。人をほめること、感動した話をすること、現状を良くしようとすること、こうした明るい話をすることで場も明るくなり、どんどん話せるようになっていく。
「否定のない空間」が話下手を改善する
上記の「3つのコツ」から分かるように、「否定」が話すことに対するモチベーションを下げていく。
つい感情にとらわれて、否定的な言葉を使ってしまうこともあるかもしれないが、話下手を直したいのであれば我慢したほうがいいだろう。話している相手を否定しないことが、自分への否定をなくす解決策となるからだ。
「相互全肯定」の状態でこそ、自己肯定感は高まる。話下手を改善したいなら、否定をしないことから始めてみるのがいいだろう。
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話下手の原因となっていたのが、自分に向けられた「否定」だとすれば、それを克服するためには、自分を否定してくる人――つまり「苦手な人」を避けることが第一歩となる。
まずは苦手な人とのコミュニケーションを取ることを極力避けて、自分を肯定してくれる大好きな人と話す時間を増やそう。
話すことが楽しくなれば、話下手な自分はもういなくなっているはずだ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。