「会議での報告資料、作っておいてね。急ぎじゃないからゆっくりでいいよ」
上司からこんな指示を受けたことはないだろうか。
指示を受けた部下としては「資料を作ること」「急ぎではないこと」を把握する。ただ、「急ぎではない」を真に受けて週内に作ればいいと思っていた部下に対して、上司の方の「急ぎではない」は「今すぐではないが、今日中にはほしい」を意味していたりする。結果、部下は上司の欲しいタイミングで資料を用意できず、上司の信頼を失うことになる。
もちろん、〆切を明確に設定しなかった上司も悪い。しかし、「急ぎではない」というあいまいな言葉をそのままにしておいた部下も悪い。こうした会話の「ズレ」によって信頼関係が損なわれたり、評価が下がるパターンはどの職場でも起きている。
こんな人が職場で「残念な人」と思われる
会話のズレによって上司に溜め息をつかれてしまったりすると、部下は「自分は理解力が低いんだろうか」と不安になるかもしれない。ただ、『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』(横山信弘著、すばる舎刊)によると、こうした「ズレ」の原因は明確だ。
・反射
・思い込み
・知識不足
この3つである。
「反射」とは、「なるはやでお願いね(上司)」「わかりました!(部下)」のように、相手の話を聞いて反射的に返事をしてしまうこと。これでは「なるはや」がいつまでを指すのかを確認するタイミングを失ってしまう。本当にわかったのか、一度考えてから返事をすべきだ。
ただ「反射」の場合、上司が確認を入れることで、部下は自分が理解していない点を認めて説明を求めることができる。
「仕事に役立つ勉強をしてほしい」 「わかりました。そうします」(反射) 「ところで、仕事に役立つ勉強って何かわかる?」 「あ、いや。実はわかっていません。教えてください」 というような具合だ。
ただ、ここで「もちろん、わかっています」と答えてしまう人もいる。もちろん、本当に仕事に必要な勉強が何かをわかっている人もいるだろうが、「思い込み」によって、「役立つ勉強」を誤って認識しているケースも。この場合、上司が確認をしても「仕事に役立つ勉強」についての認識の違いを正せない分、たちが悪い。
また、知識がないとそもそも話し手の言うことを理解できずに、コミュニケーションにズレが生まれてしまう。相手が知らない言葉を使っていたら、それをそのままにしないで意味を質問することが大切だ。
会話のズレを生まないシンプルな3つの方法
そして、会話のズレが生まれないようにする方法も比較的シンプルである。
・その場で確認する…わからないことをわからないままにしない。「とりあえずやってみます」と言って持ち帰らない。
・具体化する…「なるはや」「急ぎじゃないから」など、相手の曖昧な言葉を数字や固有名詞に具体化する。
・常識はメモを取る…まだ慣れていない職場では特に、業界用語や職場の文化が理解できず、相手のいうことがわからないことがある。逐一メモを取ることで早く慣れることができる。
この3つを徹底することで、会話のズレの多くを未然に防ぐことができるのだ。
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ただ「具体化する」にしても「わからないことを確認する」にしても、ちょっとしたコツが必要になる。本書では、その秘訣を徹底解説。職場で的外れな質問をして恥をかいてしまったり、上司から「こいつはわかってない奴」と呆れられることがなくなり、「理解が早い人」「この人は信頼できる人」という評価を得られる一冊となっている。
会話のズレはちょっとしたことから生まれるものだが、そのズレによる相手の失望感は思いのほか大きいもの。
「ちゃんと話聞いてた?」 「あの件、どうなった?」 「がんばっているのは認めるけど…」 職場でこんなことを言われたことがある人は、「残念な人」のレッテル返上のために参考にしてみてはいかがだろう。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。