「図太い人」は最強だ。人に何を言われても落ち込むことなく、人が言いにくいことでもどんどん口にする。立場が上の人や偉い人に気後れすることもない。デリカシーのなさと表裏一体なので、人から反感を買うこともある。しかし、図太い人は気にしない。人間関係において「図太さ」は最強の武器なのだ。
他人の評価は「秒」で変わる
そして、もしかしたら「図太さ」は性質ではなく「スキル」なのかもしれない。「日本一バッシングを浴びる芸能人」として知られる安田大サーカスのクロちゃんの著書『日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由』(徳間書店刊)を読むとそんな気になってくる。
クロちゃん自身は、自分が「メンタルが強い」という感覚は持っていないようだ。ただ、「本人いわく、ダメージを回避する術を知っている」のだそう。そして本人が大事にしている考えが「他人の評価は秒で変わる」というもの。普段クロちゃんを叩いているTwitterユーザーからも、クロちゃんが新型コロナウイルスに感染した時は応援や励ましのメッセージが相次いだ。
そこには愛憎入り混じる感情があると思うんです。でも人間、それが当たり前なんですよ。ここまであっさり世の中のリアクションは豹変するのに、いちいち一喜一憂していたら、自分を見失ってしまう。(P22より)
ファンがある日を境にアンチに変わることもあれば、逆もある。人の評価など不安定でおぼつかなくて、変わりやすいもの。そう気づけば自分への批判も気にならなくなるはずだ。
自分の心を守るために「上から目線」を身につけろ
他人からの批判には適切なものもあれば、そうでないもの、ただ他人に怒りをぶつけたいだけのものもある。その見極めは大事だが、批判を受けた人の感性でやればいい。的外れな批判や単なる怒りを浴び続けていれば、どんな人の心も壊れてしまう。自分の身を守るために「上から目線」になる必要もある。これもクロちゃんが実践していることである。
見た目は反省するふりをしておいて、内心では「バカを相手にするほどコスパの悪いことはない」と相手を見下す。人間関係で悩んでいる人の一定数は、他人の批判を真面目に聞きすぎていたり、あまりにも謙虚すぎて自分への意見を全部聞いてしまっている。ある程度の「上から目線」を身につけて、他人からの言葉を偉そうにジャッジすることは、心を守るために必要なのかもしれない。
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誰でもSNSをやる時代は、だれでもバッシングを受けるリスクがある時代。インターネットを離れても職場できついことばかり言う上司の下につくこともある。自分への批判にどう対処するかは、現代を生きるための必須スキルだろう。
そして、ことインターネットでは何気ない言動で「加害者」になる可能性もある。クロちゃんの著書は、対人関係に悩む人にとってのアドバイスであるとともに、普段意識することのない自分の置かれた環境に気づかせてくれる。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。