結局、何も決まらなかった会議、報告し合っているばかりの会議…。本当にこの会議は意味があるのかと、会議のあとに社員同士で会議の愚痴を言い合うといった経験をしたことがあるサラリーマンは多いのではないだろうか。
『会社を変える会議の力』(杉野幹人/著、講談社/刊)は、企業における会議を中心に企業とは何かを考え、会議の必要性と「本当の会議」について議論していく一冊だ。
まず、本書における会議の定義は「多人数で集まって問題の解決策の結論を決めること」としている。そして、さらに「会議」と「打ち合わせ」を区別し、打ち合わせとは「大人数で集まって問題を議論すること」と定義している。
会議に出ていて、こんなことを思ったことはないだろうか。
「会議での報告ばかりで疲れる」
「こんなに頻繁に関係者で集まって報告する必要があるのだろうか」
著者の定義と照らし合わせれば、こうした会議は「会議ではない」。なぜならこの会議は問題の解決策の結論を決めていないからだ。だから、これは「打ち合わせ」、さらにその中でも「報告会」であると捉えることができる。問題の解決策の結論や選択肢を決めているわけではなく、問題の解決につながるかもしれないアイディアを皆で報告することで共有しているのだ。
名称に「会議」がついているものでも、実際は「会議」ではないものも混ざっている。そもそも会議と呼んでいることが間違いで、最初から会議ではないものに「結論が決まらない」などと批判しても意味がない。「会議」と呼ばれるものへのダメ出しには、このような誤解に基づくダメ出しが含まれているのだ。
打ち合わせに参加する人は、それが本当に「会議」なのか、それとも実際は「報告会」であるのかを意識して参加することが必要になる。そして、「会議」の参加者は、問題の解決策の結論を決めるための議論が求められる。一方、「報告会」の参加者には、選択肢を理解するための議論が求められる。つまり、そこで参加者に求められるものが異なるのだ。
「会議」と思って参加したものが実は「会議」ではないかもしれない。会議に参加する人がそれぞれこういった違いを意識し、理解することで、不毛な議論をすることもなくなるのだろう。
会議を何回してもまったく進捗がない、会議ばかりに時間を取られている…そんな環境にある人は会議自体をまず見直すことからはじめてみるのもいいだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。