幼児をストレスから守るためには、親子の間で、安定した愛情深い関係を築くことが大切です。子どもがストレスを受けたときに、慰めたり抱きしめたり、話しかけたりして安心させる事で、子どものストレス対応力が上がるといいます。安心できる親という「安全基地」のある子どもは、自制心はもちろん、好奇心や自立心を持ち、障害にも上手に対処できるようになるのです。
■「性格の通知表」が人生を変える?
しかし、たとえ良好な親子関係が築けておらず、ストレス対応力が弱い子どもでも、周りの人々の支援によって人生を変えることは可能であると本書は説いています。
それは富裕層も貧困層も変わりなく、問題のある生徒に対して周りの大人が適切なサポートをすることで、その子どもの人生ががらりと変わる様が描かれています。
また、最近注目されているのが「性格の通知表」の取り組みです。学業の成績だけではなく、「自制心」「好奇心」「やり抜く力」などといった気質について評価するものです。これは子どもの人間性を評価するのではなく、成長しつづけるためにどのような点を改善すべきか、教師、生徒、親が一緒になって考えていく試みです。
日本でも採用時に性格適性診断テストを行う企業が増えていますが、社会生活に求められる能力として、教育現場でこれらの「気質」を伸ばそうとするアメリカの潮流は日本のビジネスや教育の現場にとっても大きなヒントとなるでしょう。
■人生はいつでもやり直せる
著者のポール・タフは、子どもの貧困と教育政策を専門とするジャーナリストとして「わたしたちに何ができるのか」ということを論じていますが、この本は子どもを持つ親や、教育に携わる人のためだけのものではありません。成功のために必要な「気質」は成人になってからも習得可能だというのですから、幸福で有意義な人生を手に入れるために、遅すぎることはないのです。
本書は社会の中で居心地の悪さを感じながらもがいている人へのヒントを多く含んでいるともいえるでしょう。
(新刊JP編集部)
関連記事
・「いい親」と「ダメ親」、子育ての決定的な違いとは?
・「自分に自信がない大人」が育つ家庭環境
・「あいつよりましだ」は思考停止のはじまり
・合コンで嫌われる“名言”
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。