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体育会系はやっぱり優秀?新卒採用で優遇の理由 学業重視採用の勝ち抜き方

文=城繁幸/人事コンサルタント
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 しかし、採用がポテンシャルから成績にシフトしていけば、当然、彼らへの評価は激変します。要はゼロから育てやすいとの理由で評価されていたわけで、今後、大学での学習到達度や即戦力性が求められるようになるにつれ、彼らへの評価は厳しいものに変わっていくでしょう。大学の成績によって書類選考されるだけでも、彼らの多くは面接にまで到達できなくなる可能性すらあります。

 とはいえ、それは環境変化の過渡期に直面する世代の話で、恐らく10年後には企業の求める人材像はより明快になり、それに応えるかたちで学生も新たな進化をしているはずです。まず確実に言えるのは、体育会系人気が不死鳥のごとくに復活しているということです。

●ネオ体育会系が日本社会を変える?

 しかし、復活を遂げた「ネオ体育会系」というべき層は、終身雇用時代の体育会系とはまったく別もので、大学の成績は平均以上で、インターンなどの学外活動にもそれなりに参加するでしょう。元のポテンシャルは優秀なわけですから、その気さえあれば新たな環境の変化にきっちりと対応し、文武両道路線にシフトできるはずです。

 これは他国を見れば明らかで、例えばアメリカのビジネス界では、軍隊経験者や大学スポーツ選手OBが重要なポジションに就いていることが珍しくありません。学業に加えてチームの一員として実績を積むことは、立派なプラスアルファの経歴になるのです。

 ついでに言うと、このような採用における変化は、日本社会に残る、意味不明な長時間の練習やシゴキ、体罰といった体育会的カルチャーを一掃するでしょう。そして代わりに、厳しい自己管理能力が問われるようになるはずです。

 筆者は、日本の中学の部活動から五輪強化選手にまではびこる体罰文化は、突き詰めれば社会に体育会的カルチャーへのニーズがあったことが大本だと見ています。従って、社会の側でそうしたものを必要としなくなれば、自然とスポーツの現場からも悪弊は消えていくでしょう。これも流動化の一つのメリットといえます。

 他方、「自分は文科系だけど、どうしたらいいでしょう?」という人も心配はいりません。21世紀型の日本企業が求めるのは「よく調教された競走馬」ではなく「裁量を与えてもきっちり成果を上げられるだけの自己管理能力」ですから、スポーツ以外でそれを示せればいいのです。

 ちなみに、筆者が今から大学に入学する未成年に戻ったならば、大学の授業を真面目にこなしつつ、2年生くらいから管理部門中心にインターンを経験し、労働法制の現状と矛盾を踏まえた卒論を書くことに専門課程の2年間を使うと思います。少なくとも筆者が面接官であれば、そういう目線が高く行動力のある人材は是非採用したいと思う次第です。
(文=城繁幸/人事コンサルタント)

※本稿は、城繁幸氏のメルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」から抜粋・編集したコンテンツです。

【筆者プロフィール】

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●城 繁幸:人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。
ビジスパにて、メルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」を配信中。
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