三菱東京UFJ銀行員「ローン審査ゆるゆるで、アコムに丸投げ」
A氏 実質的には、銀行は名前と場所を貸し付けているだけ。なので、利用者側から見れば、貸金業法改正以前の審査基準で、銀行のローン商品の利用、すなわち借り入れが可能というわけだ。キャッシング商品、それから消費者金融で借り入れ額が多額の人でも、銀行のローン商品ならば融資が可能というケースは多々見聞きする。過去、個人が銀行から融資を受ける際は、かなり厳しい審査基準があったものだが、今の銀行のローン商品は、かつての「サラ金」の基準での貸し付け。審査基準は甘い。
こうした銀行のローン商品は、ウチでは「バンクイック」、三井住友銀行では「三井住友銀行カードローン」という商品名で取り扱われている。
アコムに丸投げ
――つまり、「銀行のローン商品」と言いつつ、実態は業者に丸投げということでしょうか?
A氏 これら銀行のローン商品だが、もともと銀行側はそのノウハウがない。そのため、保証会社、すなわち消費者金融業者側に業務は丸投げされており、ほぼ業者のノウハウで運用されている。なので、銀行側から見ると、従来の銀行での融資業務では考えられない緩い審査基準となる。
――その審査基準について教えてください。
A氏 固定電話があり、家族構成、勤務先での勤務実態が確認できれば、多少、借り入れ額が多くとも、貸し付けは可能。他社での借り入れが多い人には「おまとめローン」も提案できる。他社での借り入れ返済を約束した上で貸付額を増やせば、その分、貸し手(銀行側)は、安定した収益が得られる。
そもそも銀行、そして消費者金融も、私企業である以上、多くの人に利用されて初めて収入が得られる。つまり大勢の人に「お金を借りてほしい」のだ。
実際、銀行のローン商品でも、消費者金融でも、営業ノルマ、つまりどれだけ多くのお客様にお金を借りていただくかが勝負。なので、上司から『とにかく貸し出せ』というプレッシャーは相当きつい。
延滞、債務整理、自己破産さえしていなければ融資可能
――実際に利用者が銀行や消費者金融で新規に借り入れを行う場合、どのような審査が行われているのでしょうか?
A氏 新規借り入れの申し込みがあると、まず日本信用情報機構などの信用情報機関に対して、借り入れ希望者の情報の開示要求をし、その結果を見て与信額(融資できる金額)を決める。その際、過去、延滞などが多い、もしくは債務整理や自己破産などを行っていなければ、ほぼ通る。