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スマホ頼りの戦略も市場からは“着信拒否”

ソニー、ソフト配信サービス乱立の陰でアップルユーザ増殖中!?

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 パソコン、スマートフォン、タブレット端末、テレビの4つの端末にソニーが持つコンテンツを配信していくモデルだ。ソフトを生かしながら、コモディティ化しがちな機器の差別化につなげる。社長就任前の平井氏も「ハードウエアを売るための戦略」と得意げだった。

 実際、戦略の核となるスマホ事業を自社に取り込むため、スウェーデンの大手携帯端末メーカー・エリクソンとの合弁会社、ソニー・エリクソンを完全子会社化。タブレット端末市場にも新規参入した。戦略を具体化するための下地を着々と整える。

ソニーに潜む致命的な穴

 だが、この4スクリーン戦略、すでにいくつもの「穴」が見えている。特に問題なのが、スマホ事業への注力の遅れだ。平井社長自ら「スマホが核」と語るが、スマホ市場は米・アップル、韓国・サムスンが市場を二分しており、ソニーのスマホやタブレット端末の世界シェアは5%未満。いかに自社で大量のソフトを抱えていようと、巻き返しは容易でない。

 その自慢のソフトも供給体制に課題がある。例えば、競合のアップルは主要な製品のすべてで、音楽(「iTunes」)や映画、アプリケーションなどを楽しめる。その上、クラウドサービスを使えば機器間で共有できる。一方、ソニーの音楽やゲーム、アプリケーション配信には、SEN(ソニーエンターテインメントネットワーク)とPSN(プレイステーションネットワーク)という2つのネットワークプラットフォームが存在する。おまけに、電子書籍配信サービスも別プラットフォームで始まった。どの機器がどのネットワークにつながるか、ソニー社員ですらわかっていないとも言われるほど複雑。アカウントもサービスごとに取得する必要がある。いくらコンテンツが豊富でも使い勝手が悪ければ、宝の持ち腐れ。現時点で、サービス一本化にめどが立っていない。

 ソニーに詳しい関係者は「平井さんはCBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)出身。完全な傍流だけに、良くも悪くも、ソニーらしさやモノづくりにこだわりがない。実際にかつてゲーム事業では大なたを振るっており、今回もテレビを含め、リストラを一気に進める可能性はある。ただ、スリム化はできても、新しいソニーをつくれる手腕があるとは到底思えない」と語る。

 果たして4スクリーン戦略は「ソニー復活」の原動力となるのか。不発で終われば、ソニーは4スクリーンに苦しめられ、「四面」楚歌に陥る。
(文=江田晃一/経済ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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