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健康・介護保険は使うな、介護職員の待遇改善なんてしないetc.

介護職員の年収は4倍に!?「日本再生戦略」のウソ

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野田佳彦首相(中央)。(「首相官邸HP」より)
グリーンとライフが成長戦略の目玉だが…

 7月31日、野田内閣は「日本再生戦略」を閣議決定した。

 2020年までに、医療・介護、環境、農林漁業など成長分野で100兆円以上の新市場を創出し、480万人以上の新たな雇用を生み出すことがその柱で、年に名目で3%、実質で2%の経済成長を目指す。

 その目玉は、環境分野で50兆円以上の新規市場、140万人以上の新規雇用を生み出すという「グリーン成長戦略」と、医療・介護・健康関連サービス分野で50兆円の新規市場、284万人の新規雇用を生み出すという「ライフ成長戦略」である。2つの戦略を合わせると100兆円という市場規模になり、それを経済成長率押し上げの原動力にしたいという。

 新しい市場を創り出すのも、雇用を増やすのも結構なことで、それで日本経済がデフレから脱却して成長軌道に乗り、明るい未来が待っているのなら、それはそれで望ましいことである。

 だが、日本再生戦略の2つの目玉のうちの一つである「ライフ成長戦略」の中身には、現実離れしたある数字が潜んでいた。

25兆円増加の「健康関連サービス業」とは?

 発表された日本再生戦略の概略で、もう一度、数字を確認しよう。

 グリーン成長戦略 市場創造50兆円以上
          雇用創造140万人以上
 ライフ成長戦略  市場創造50兆円
          雇用創造284万人

 両成長戦略の市場創造の規模は、50兆円と同じである。しかし、雇用創造の規模は140万人対284万人で、約2倍の開きがある。

 ライフ成長戦略の概略を、もう少しくわしく見てみよう。

「革新的医薬品・医療機器の創出並びに再生医療、個別化医療及び生活支援ロボットの開発・実用化、先端医療の推進による経済波及効果:1.7兆円、新規雇用3万人」
 
 これはハイテク分野である。新規雇用は医学部や薬学部、工学部の大学、大学院を出たような人が主体だ。本文では「こんなハイテクの研究をやる」という説明がてんこ盛り。長々と続いてウンザリする。

 その次の「健康関連サービス産業:市場規模25兆円、新規雇用80万人」という部分は、市場規模50兆円の半分を占めているのに、ハイテクとは大違いで本文に記述がほとんどない。強いて言えば、「公的保険外の医療・介護周辺サービスを拡大する」という部分。それは裏読みすれば、「健康保険や介護保険を使わせたくない」ということか? 

「役所の文書は、本当に重要な部分は見落とされるように書かれている」というジョークを地でいくような、隠し方である。

 その次は「海外市場での医療機器・サービス等ヘルスケア関連産業での日本企業の獲得市場規模約20兆円」で、国内市場とは直接関係はない。これは本文の最後に少しだけ記述がある。