コピー品も…激増する中国産流入で、世界中でワインが生産過剰!?
井原水産のHPより
高級ワインをつくる、中国初の家族経営ワイナリー、グレース・ヴィンヤード(怡園酒荘)社のワインは、すでに香港でのワインコンテストで高い評価を得ており、アジアのシェラトン系ホテルのワインリストにも掲載されているという。
また、中国トップクラスのワインといわれる、寧夏回族自治区の小規模ワイナリー、シルバー・ハイツのワインづくり・経営を主導しているのは女性である。銀川地区のブドウ栽培プロジェクトに加わった高林氏が農園を購入し、その後ボルドー大学でフランス国家認定醸造士(DNO)の資格を取得したのち、ボルドー地区のいくつかの有名シャトーで修業した娘の高源氏に、ワインづくりと経営を任せたものである。
08年に初めてワインを出荷した若いワイナリーだが、今では「中国国内ではほとんど入手不可能な状態」といわれるほどの人気ブランドになっている。彼女の夫は、フランスの有名ワイナリーの醸造責任者で、今秋にはフランスを離れ、中国で夫人のワイナリーを手伝うということだから、品質、味ともに一段と上がると見られている。
気になるお味は?
現状、シルバー・ハイツの味の特徴は「少し野趣を感じさせ、こまやかなタンニンと果実味が溶け合っている」という評判である。対して、グレース・ヴィンヤードのほうは、「渋み、重みをさほど感じさせず、全体的にフルーティですっきりした口当たり」というのが、試飲した多くの人の声である。両ワイナリーのワインを輸入している井原水産・ワイン事業部の鈴木慎一郎横浜営業所所長によると、「ともにまだ木が若いので、ボルドーの赤のような重厚さやコクは出づらい」のだという。このあたりは、時間の経過とともに解決する問題だということだろう。
今後の輸入に関してだが、井原水産では、「われわれは(ワインのインポーター最大手の)メルシャンでもなく、サントリーでもない。自分たちのできる範囲で、確実にいい物を入れていくだけだ。そうした中で着実に市場に認知してもらえればと考えている」(鈴木所長)と語る。
井原水産の井原慶児社長によると、マーケットしては「まずは高級中華料理店、それに浦安のベイ・シェラトンを皮切りに、ホテルなどに売り込んでいきたい」という。
中国ワインの輸出の75%超が日本向け
中国酒大手の永昌源の資料によれば、中国ワインの輸出総額は年間20億円ほどで、輸出先の75%超が日本だとされる。といっても、大手はもちろん、そこそこ名の知られたインポーターも輸入に関わっておらず、横浜や神戸、あるいは最近増えている池袋あたりの中華街のレストランが、地元商社を使って仕入れている部分が多いのではないかと、業界関係者は推測している。バイキング料理と合わせて出ている、1本数百円くらいの値段のワインなどが、輸入中国ワインの中心だろうと考えられる。
ちなみに中国国内では、フランスはもちろん、世界の有名ワイナリーのコピー商品が大量に流通しているのは周知の事実だが、さすがにこれらはまだ、まとまった形では日本に入ってきていない様子だ。