酒、クルマ、サバゲを愛する「ハゲ」「ヒゲ」女子が増殖中!?
『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系列)などでおなじみの世代・トレンド評論家、牛窪恵氏。本連載では、8月23日に『男女1100人の「キズナ系親孝行、始めました。」』(河出書房新社)も出版した牛窪氏が毎回、賢くも楽しく生きる女子たちの“生態”を通じて、彼女たちが新しいマーケットやブームをつくりだしていく現実と可能性について探る。日本の将来は、女ゴコロしだい!?
女子の「オス化(男性化)」が叫ばれて久しい。
まず、ハゲに悩む「ハゲジョ(女)」は5年前と比べても、飛躍的に増加。20~40代女子の間でも、いわゆる男性型脱毛症「FーAGA」を訴える割合が目立つようになり、患者数は5年前(07年)の約3800人から、現在3.8倍の1万5000人弱にまで増えたとされる。
また、ヒゲがどんどん生えてくる「ヒゲジョ(女)」も、年々顕著になる傾向に。
カミソリや包丁の販売で知られる貝印が今年、全国の男女1,282人に行った「うぶ毛に関する意識調査」によると、うぶ毛を処理している女子は7割以上。
処理する部位のトップは「顔のうぶ毛」(70.6%)で、詳細は下記の通りだった。
1位:鼻の下(49.5%) ※働く女子に限ると「52.4%」
2位:口のまわり(35.3%)
3位:あご(11.9%)
「うぶ毛」といえば可愛げもあるが、鼻の下や口のまわり、さらにはあごの毛まで剃っているとは! これでは世のオッサンと、なんら変わりない。まさに「オス化」である。
なぜ「オス化」が起こるのか。「成城松村クリニック」の松村圭子院長によると、実はその原因は、男性の「草食化」と同じだという。すなわち、オス化に影響するのは、過労や偏った食事、不規則な生活などによるストレス。これらによって自律神経が乱れると、女性は相対的に女性ホルモンが減り、男性は男性ホルモンが減る。
つまり、男子は女っぽくなり、いわゆる「草食系」に近づく。他方、女子は男性のように体臭(加齢臭)やハゲ、ヒゲが目立ち始め、「ハゲジョ」「ヒゲジョ」などが増えるというのだ。
ホルモンバランスの乱れは、本人の体調を考えれば望ましいことではない。長い目で見れば「少子化」「不妊化」を促す可能性もあり、ある意味で深刻な問題だ。
ただ、女子がオス化することで、以前より潤うマーケットもある。1つは、いささかストレートだが、これまで「男性限定」と思われてきた市場。育毛剤やウィッグ、ヒゲ剃りなど、ハゲやヒゲをケア(予防)するグッズも、最近はオス化する女性狙いの商品が増えた。
そしてもう1つ、ひと昔前まで「男のもの」との既成概念が強かった「男前マーケット」にまで、女子が参入し始めたのだ。