・標準詳細図集』(彰国社)
2012年1~6月期の連結決算は、営業損益が110億円の赤字(前年同期は93億円の黒字)、経常損益段階で68億円の赤字(同116億円の黒字)、中間純損益が66億円の赤字(同44億円の黒字)だった。中間期の赤字は02年以来、10年ぶりのことになる。
公共投資の減少による受注競争の激化で、不採算の大型工事が発生した。東日本大震災復興関連の案件は増えたものの、東日本地域を中心に労務者が不足して労務費が上昇。これが収益を圧迫した。
12年12月期通期の売上高は、前期比2.9%増の1兆50億円。営業利益は同68.5%減の35億円、当期純利益は同9.1%減の20億円を見込む。ただ、計数管理の徹底などを行うことで、通期では黒字を確保できる見通しだ。期初の予想から売上高は上方修正し、営業利益は当初の145億円から大幅に下方修正した。
赤字の本当の原因は、関西の大型案件を採算度外視で受注したからだといわれている。
それが、近畿圏における最大にして最後の一等地にある、大阪の梅田北ヤードの開発だ。JR大阪駅の北側真向かいに位置し、敷地面積7ヘクタールの先行開発区域「グランフロント大阪」で、13年4月の開業に向けて工事が進められている。地上38~48階建ての超高層ビル4棟の完成は近い。
87年の国鉄改革に伴い、国鉄清算事業団へ引き継がれた総面積24ヘクタールの旧国鉄梅田貨物駅の跡地だ。06年に実施された事業コンペには、名前の通ったゼネコンのほとんどが参加したことから注目度は高かった。
入札に参加した4チームの中から、三菱地所をはじめとする12社の企業連合体が、約3000億円で土地を落札。在阪のスーパーゼネコンである竹中工務店と大林組が折半で、この工事を受注した。鹿島や大成建設などの関東勢に工事を奪われなかったのは「大本命が、必死の形相で受注を勝ち取った結果」と言われた。
だが、このプロジェクトには逆風が吹きつける。もともと落札価格が高額だったうえに、08年のリーマン・ショックでミニ不動産バブルが弾けた。さらに10年夏には、大阪の生コンの労働組合が1カ月以上にわたってストライキを打ったため、工事が大幅に遅れた。当初の11年の開業予定が2年もずれ込んでしまった。