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松江哲明の経済ドキュメンタリー・サブカル・ウォッチ!【第10夜】

「肉が来ない……」もつやき職人が言葉通じない中国で悪戦苦闘

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毎週日曜日 14:00から放送。
(「ザ・ノンフィクションHP」より)

ーー『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビュー!

今回の番組:12月2日放送『ザ・ノンフィクション』(テーマ:もつ焼き一生懸命!)

『ザ・ノンフィクション』で放送された『もつ焼き一生懸命! ~麻布十番…そして上海~』は、いきなり断言してしまうのもアレだが、そんなに面白い回ではなかった。

 夕方のニュース番組の合間に流れる人気店紹介を思わせるのんびりとした演出に、二代目の店主が三代目に店をどのタイミングで譲るか、という大切な決断が70歳の誕生パーティというあまりに緊張感のない場面で描かれ、肝心の想いを語る場面も趣味の釣りの合間という間の抜けたもの。本仮屋ユイカさんの、のんびりとしたナレーションがぴったり過ぎて素直に「今夜はもつ焼きにしよっかなー」なんて気持ちになってしまう。麻布十番と上海の、それぞれは「もつ焼き」という共通点しかない二組をシンクロさせることなく番組は進む。

 もし『ホストの前に人間やろ!』だったら酔った勢いのパンチの一つや二つはあるはずだし、涙を流すのならホストグランプリの会場であるべきだ。劇映画以上の見せ場を用意してこその『ザ・ノンフィクション』でしょう! そして日曜の昼にダウナーな気分にさせて欲しいのだ。

しかし、今回の放送で描かれる「まっすぐな」人間模様を見、最近、僕が何気なく思っていることに納得がいったのだ。

 僕はTwitterを始めてそろそろ半年になる。ドキュメンタリーを制作していると私的なことから題材を得ることが多いため、また作品が現実を扱っているせいで、このメディアとはうまく距離感をとらないといけないな、と思っていた。ふとしたつぶやきが作品にとっての大きなテーマとなったり、ネタバレになりかねない。

 特に昨年の震災頃は「やってなくて本当によかった」とさえ思う。映画制作者は見えないもの、聞こえにくいものを表現してこそ、だと僕は考える。それでも始めたのは周囲の説得と、監督ではなくプロデューサーを始めたからだ。「観客の声を知らずして、プロデューサーが務まるか」と言われ、その場で始めた。

 結果は、非常に楽しい。猫の写メをアップし、一方的にファンだった方のつぶやきをチェックする。リアクションがあるのも嬉しい。ちょっと嫌らしいがリツイートされやすい話題というのも分かって来た。

 で、気づいたのだが最近の話題はもっぱら選挙だ。

 僕がフォローする人たちの政治観はだいたい似ている。そりゃそうだ、同じ趣味や志向の人たちが集まるのだから。僕は幼い頃から両親に「政治のことを家で語るのは良くない」と言われていたので、つぶやくこともないし、どこに票を入れたかなんて恋人にさえ話したことがない。だから人の意見も興味はないし、自分から話したことはない。でもTwitterを目にするだけで意見を問われているような気持ちになる。多分、ほとんどの人にとっては自然なことなんだろうけど、僕には新鮮だ。