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プロアナウンサーが徹底調査、日常生活の“ひっかかる”日本語

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※画像:『ひっかかる日本語』
著:梶原しげる/新潮社

 “1000円からお預かりします”“お釣りの方、○○円になります”。日本語ブームで、お店などでも正しい言葉の教育がされるようになった最近でも、こういった日本語に違和感を覚える方は多いのではないでしょうか。

 フリーアナウンサーの梶原しげるさんは、『ひっかかる日本語』(新潮社/刊)の中で、日常生活における“ひっかかる日本語”を指摘して、なぜそのような言葉が使われるようになったのかを調べて考察しています。

■初めて利用したトイレで、「いつもきれいにつかっていただきありがとうございます」

 トイレの張り紙などで見かけるこの言葉。“このトイレを利用するのは初めてなのに、『いつも』と言われても……”と思った方もいることでしょう。古くから商売人の世界には、初めての客にも『毎度ありー(毎度ありがとうございます)』と声掛けする習慣がありますが、決まった言い回しが多く耳に触れ定着すると、違和感は徐々に消えていくのだそうです。

■1LDKは“ワン・エルディーケー”なのに、2LDKは“に・エルディーケー”

 これはマンションの間取りを指す言葉ですが、1LDKだけ「ワン・エルディーケー」と英語で、2LDK以降は「に、さん、よん・エルディーケー」と日本語で言います。
 この奇妙な法則について、梶原さんは国立国語研究所の博士に質問をしています。それによると、「ワン」は、「ツー」や「スリー」よりも新しい複合語を作る能力が高いそうです。確かに、「ワンレン」「ワン切り」はあっても、「ツーレン」「ツー切り」という言葉はありません。そのため、日本に“LDK”という言葉が入ってすぐの頃は、まず「ワンLDK」が定着し、“LDK”という言葉が一般的な日本語として耳に馴染んだところで、『に、さん』という言葉と結びついたという説があるそうです。

■時代性で変わる言葉の流行

 また、LDKの数え方のほかの説として、国立国語研究所の博士は“時代性”という切り口でも分析されています。

博士「また、時代性というものもあるんですね。鉄人28号とウルトラセブンを知ってますか? 鉄人28号の時代は、漢語+漢語で十分かっこよく、みんな納得したんですね。これが時代が進むと、ウルトラセブンのように英語+英語のほうが時代的に合う感じがしたのでしょう。しかし、新しさイコール英語ではなく、あえて日本語にしたほうが新鮮だという感性もあるんですよ。ツイッターを“つぶやき”なんていう昔ながらの日本語で表現するのなんかもそうですね」

梶原「日本語読みは必ずしも古くさいとういことではないんですね? 1LDKを『いちエルディケー』と読むほうが『おしゃれ』という感覚も今後出てくるとおっしゃりたいんですか?」

博士「可能性は否定できません。言葉の揺れや変化は実に多様多彩なものです。LDKが完璧に助数詞になれば『いちエルにする? にエルにする?』なんて表現で、夫婦が住宅購入を話し合う時代が来るかもしれません」

 “LDKの数え方問題”は非常に難しく、はっきりした答えを出すのはまだ難しいようです。しかし、言葉は常に変化し、揺らぎあるものという大前提に立ち返って考えれば、LDKの数え方も、今まさに“揺らいで”いる真っ最中なのかもしれません。
(文=新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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『ひっかかる日本語』


確かにおかしい

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