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アベノミクスでもソニーは救えない!? 決算で鮮明になった、電機業界の落日

文=blueprint
post_2085.jpg(「ソニーHP」より)

 2013年3月期の決算が続々発表されるなかで、電機業界の苦境があらためて明らかになってきた。

 本社部門の人数を半減させるなど、従業員5000人の追加削減を行うという中期経営計画の内容が報じられているシャープに先立ち、10日にパナソニックが発表した13年3月期決算は、純損益が7542億円の大赤字に。これは過去最悪だった12年3月期の7721億円に続く巨額赤字であり、10日付の日本経済新聞は、三洋電機買収で見込んだリチウムイオン電池や太陽電池事業などの「将来の収益力(のれん代)」が振るわず、それを低く見直す減損処理が響いたと分析している。

 パナソニックはまた、決算のなかで、今期はテレビなど不振事業の赤字を縮小させ、構造改革費用を大幅に減らすことで、2014年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)が500億円の黒字になるとの見通しを発表した。しかし、ブルームバーグによれば「アナリスト16人の事前予想平均は637億円だった」。やはり巨額損失のきっかけとなったテレビ事業の苦戦が続く見込みで、市場予想に届かなかったことを報じている。

 そんななか、ソニーが9日に発表した13年3月期の決算は、連結当期純損益(米国会計基準)が430億円の黒字となり、5年ぶりの黒字化を果たしている。しかしながら、その数字に大きく貢献したのは、不動産売却益1078億円、株式の売却による利益1222億円だ。

 決算の発表に先立ち、4月24日発売の週刊ダイヤモンドが資産の売却という“手品の種”が尽きるまでに、本業で回復できるヒット商品が生み出せるかどうかがカギだとして、「目玉商品が切り売りする資産ではあまりに悲しい」と指摘したが、電機事業は全体で1344億円の赤字を計上している。改善幅は前年比で358億円だったものの「金融事業などで稼いだ利益を電機が食い潰す構図は変わらなかった」(10日付の朝日新聞)。まさに“薄氷の黒字化”だったと言えそうだ。

 ソニーは14年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が前年と同水準の2300億円になるとの見通しを発表しており、スマートフォンの販売増による損益改善や、液晶テレビ事業の黒字化を見込んでいるというが、週刊ダイヤモンドの懸念は払拭されるだろうか。

 メーカーだけでなく、小売を見ても電機業界の不振が伺える。4月22日に東洋経済オンラインが「家電量販店のガリバーとして君臨するヤマダ電機が、国内外で苦戦している」と報じたように、同社の3月期決算では、純利益が前期比61.9%減の222億円に。業績が振るわないことを理由に全取締役の降格を決めたことも大きく伝えられており、10日付の朝日新聞によれば、創業者でもある山田昇会長は「降格は全員だが、元に戻れるのは全員ではない」と語り、奮起を促したという。

 決算記者会見に臨んだ岡本潤副社長は、「家電需要が縮むことをみこして住宅関連の事業などを強化する戦略は変わらない」としており、やはり業態の転換を余儀なくされているようだ。

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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