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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(6月第5週)

パズドラ、ヒットの秘密…岐路に立つガチャ頼みのグリーとDeNA〜ゲームの転換点か

post_2235.jpg(「ガンホーHP」より)
 毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「東洋経済」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

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「週刊東洋経済 6/22号」の特集は『会社を変える会議』だ。「日本企業の会議好きは病的なほど」と指摘されるほど、意味のない会議が多いのが日本の企業だ。

「会議をしている間、売り上げは一銭も生まれないが、人件費はかかる。増収策やコスト削減策を漫然と議論するくらいなら、ムダな会議を削減し、営業にかける時間を増やしたほうがましだ。目的のあいまいな会議、終了時間の決まっていない会議、参加者がやたら多い会議……これらはムダな会議である可能性が高い」。

 会議を変えれば会社は変わるとして、ムダな会議の見直しを提案している。 今回、注目したいのは、第2特集の『パズドラの破壊力』だ。6月8日にダウンロード数が1500万件を突破し、スマートフォン保有者の4人に1人、約1400万人が遊ぶゲームとなったガンホー・オンライン・エンターテイメントのスマートフォン向けゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」。ガンホー・オンライン・エンターテイメントは2013年度第1四半期の売上高は前年同期比800%超、営業利益7000%超と、驚異的な飛躍を遂げ、新興企業向けJASDAQ市場のガンホーの株価は上昇し、5月14日に年初来高値の163万3000円をつけた。

 時価総額は1兆8807億円に達し、ソーシャルゲームのグリー、DeNAを抜き去り、任天堂をも越えた。ゲーム業界の最大手でゲーム端末機中心の任天堂から、タッチ式ディスプレーによるスマホ向けゲームのガンホーへ、時代の転換点を迎えたようだ。

 ガンホーは、ソフトバンクが58.5%の株式を保有する子会社で、会長は孫正義ソフトバンク社長の弟である孫泰蔵氏だ。98年、オークションサイトとしてスタート。02年には、パソコン向けオンラインゲームに業種転換。その後、スマホ向けゲーム「パズル&ドラゴンズ」がヒットするという紆余曲折を歩んできた。

 特集ではもはや日本を揺るがすような社会現象にもなっているパズドラ一人勝ちの秘密、今後の課題に迫っている。「ヒットしたのは運です!」という経営トップ・森下一喜社長と開発責任者・山本大介プロデューサーのインタビューを掲載している。 ヒットの要因については、あくまでも「ゲーム屋」としての姿勢を貫いた結果だという。

「山本:半分以上は運だと思っています。どれだけ面白いと思うものを作っても、当たるかどうかわからないし、どのくらいゲームに共感してくれる人がいるかもわからない。

 森下:運という言葉の裏には深い意味があります。ゲーム屋として当たり前にやるべきことをきちんとやる。ゲームは面白くてなんぼの世界なので、そこに徹底的にこだわって作り込む。(略)運と言っている裏には、自分たちはおごらないという意味もある。『運ではなく実力です』と言い出したら、『は?』って思いませんか。なんぼのもんですか、と。僕たちはあくまでも運がよくて、巡り合わせの下で一緒に仕事ができる。大介と出会ったのも巡り合わせだし、運ですよ。ヒットを作るためというわけではなくて、一緒にゲームを作って楽しいやつを探していた」

 ゲーム屋としての姿勢がグリー、ディー・エヌ・エー(DeNA)などのソーシャルゲームのアイテム高額購入問題とも一線を画すことになる。 東洋経済オンライン『「パズドラ」が変える ゲーム業界の勢力図』(http://toyokeizai.net/articles/-/13106)によれば、「パズドラもアイテムを購入すればゲームを進めやすくなるが、無料プレイでも十分に楽しめる。かつ、ガチャ重視のゲームに比べて、パズルゲームとモンスターバトルを組み合わせた面白さが、ユーザーを引き寄せた。結果として課金収入も拡大している」

 森下社長は「従来のガチャに依存するソーシャルゲームと違い、純粋にゲームとして楽しめる作品を追求した。課金単価を引き上げるのではなく、無料でも多くの人に楽しんでもらいたい」と話す。将来的にも「任天堂のスーパーマリオやポケモンみたいな国民的ブランドに育てていきたい。さまざまなグッズの販売や、今後はアニメ化といった横展開も考えられる」という。

「ガンホーの躍進はグリー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の2大プラットフォームに依存していた開発会社に意識の変化をもたらしている。パズドラはグリーやDeNAは通さず、グーグルプレイやアップルのアップストアから直接アプリを配信して大ヒットしたから」だ。「グリーやDeNAは集客力があるとはいえ、従来型携帯電話のときより彼らを通じてゲームを配信する魅力は薄れつつある」とある開発会社の幹部。

今回の特集では、パズドラがヒットした背景にも鋭く迫る。パズドラを猛烈にプッシュしたのは、iPhone向けアプリ紹介サイト「アップバンク」の村井智建CEOだ。村井CEOは、パズドラプレーヤーの間では「マックスむらい」としても有名だが、「パズドラを大々的に推すことに対してユーザーや読者の方に初期にはいろいろ言われましたが、スマホを代表するゲームになって、アプリ市場の拡大を牽引していってほしいと強く思ったので推しています」と語り、月間1億弱のページビューを持つメディアの強力なバックアップがあったことがわかる。

 ちなみに、この「マックスむらい」も81年生まれで、最近の起業のキーワード『81(ハチイチ)世代』ど真ん中だ。 また記事『なぜソフトバンク傘下入り?』では、ガンホーがこの4月末よりソフトバンクの連結対象となったが、その複雑なスキームと、利益のかさ上げ(約1500億円の有価証券評価益を計上予定)という狙いについても迫っている。 ただの好調な企業の紹介に終わらず、ブームの背景にまで迫っている良特集だ。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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