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アベノミクス、株価上昇過去最長でも批判多いワケ…戸惑うメディアと金融機関

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黒田東彦・日本銀行総裁

●株価が乱高下する原因


 5月23日、午前中に日経平均株価で1万5942円をつけた株価は午後には反落し、1万4483円となった。この日を境に株価は乱高下を続け、黒田緩和、ひいてはアベノミクスに疑問符をつける評価が表に出始めるようになった。

 株価が不安定になった要因に、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言がある。5月22日の議会証言で、現行の緩和策を当面続ける姿勢を強調する一方で、「労働市場の見通しが実質的かつ持続的に改善すれば、連邦公開市場委員会(FOMC)は資産買い入れペースを緩やかに縮小していく」と発言したことを受け、FRBが量的緩和を縮小させるという観測がマーケットに広まり、世界の株式市場が下落したのだ。 

 また、6月19日のFOMC終了後の記者会見でも、量的緩和の縮小に言及した発言があった。

「インフレ率は目標である2%に向け回帰していくと見ている。今後発表される経済指標がこの見通しとおおむね一致すれば、毎月の資産買い入れ規模を年内に縮小させることが適切であると、FOMCは現時点で予想している。さらにその後の経済指標が引き続きわれわれの現在の経済見通しとほぼ一致すれば、来年上半期を通して慎重なペースで買い入れを縮小していき、年央あたりに終了させる」

 これにより、米株式市場ではダウ工業株30種平均が206ドル下落し、20日の東京株式市場も日経平均株価は一時1万3000円を割り込むなど反落した(終値は、前日終値比230円安の1万3014円)。

 アメリカの中央銀行にあたるFRBの議長の発言は、世界経済に影響を与えるということをまざまざと見せつけられた形になったが、日本にはどのような影響を与えたのだろうか? 三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員で『アベノミクスのゆくえ』(光文社新書)の著者・片岡剛士氏は次のように解説する。

『アベノミクスのゆくえ』(光文社新書/片岡剛士)
「資産買い入れの規模を年内に縮小させ、来年上半期から年央に終了させると明言したことによって、外国人投資家に絶好の売り材料を提供したことになったのです。今の時点で十分儲かっていて、なおかつ早ければ今年の9月からQE3の緩和策を縮小し始めるというのなら、今のうちに株を売っておいたほうがよいのではないかという判断になると思います。そういう意味でダウが下がり、日本株にも影響したわけです」

 日本の株価に影響を与えたのは、アベノミクスがスタートしてから株の買い付けに熱心だったのが外国人投資家だったからだという。彼らがバーナンキ議長の発言を受けて、資金を日本株から引き揚げようと判断したと、片岡氏は言う。

●日経平均株価は過去最長の上昇

 また、日本特有のジレンマもあった。

「2012年8月以降、日経平均株価は前月ベースで緩やかに上がり続け、今年の5月で9カ月連続前月比上昇となりました。外国人投資家がかなり買い越しをしていた背景もありますが、実は1984年以降、日経平均株価が10カ月連続で前月比上昇したことはありません。つまり、9カ月連続の前月比上昇というのは過去最長なのです。これを達成したのはバブル期と小泉政権期の2回だけで、今回が3回目でした。そういう経験則から考えても、5月というのは4月より上がる可能性は少なかった時期だったといえます」(片岡氏)

 昨年8月の平均株価は8839円。それが5月22日の最高値は1万5942円6銭と、ほぼ倍増したのだ。9カ月でこれほどの増加を示せば、どこかで利益確定の調整する判断があったとしてもおかしくはない。バーナンキ議長の発言は、この判断を後押しする格好になったため、日本株の下落が一層大きくなったといえる。

●異次元緩和を批判するのは時期尚早