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ソフトバンク、なぜ「プラチナバンド」と言わなくなった?“つながりやすさ”で出遅れ感

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 ソフトバンクモバイルが総務省から900MHz周波数帯の認可を受けて、これを「プラチナバンド」と名付けて大規模なプロモーション戦略に乗り出したのは、2012年7月末のこと。あれから、ちょうど1年が経過した。この1年でソフトバンクは『つながりやすさNo.1へ』と銘打った大規模な広告展開をしたり、先日は同社の電波品質をアピールする「バリバリつなガレー」というノベルティを展開するなど、消費者への品質アピールに躍起になっている。

 ただ、同社がテレビ、雑誌、新聞、ウェブなどで展開している大量の広告を見ていると、肝心の「プラチナバンド」という言葉をすっかり見なくなってしまった印象を受ける。多額のコストを掛けて膨大なプロモーションを打ったにもかかわらず、「プラチナバンド」を語らなくなってしまったのはなぜだろうか。背景には、ソフトバンクの「プラチナバンド」にまつわるいくつかの事情が推測される。

●「プラチナバンド」は“プラチナ”ではなかった?

 まず、なぜソフトバンクは900MHz周波数帯を「プラチナバンド」と呼ぶのかという前提をおさらいしよう。

 同社は長らくNTTドコモやKDDI(au)がすでに保有していた700~900MHz周波数帯の電波を保有していなかった。この周波数帯は遠くまで電波が届き、また建物などの障害物を回り込む性質を持ち、繋がりやすさに大きく寄与する特性がある。その700~900MHz周波数帯の電波を保有していなかったソフトバンクは、「繋がりにくい」「すぐに途切れる」といった悪評にさらされることに。同社にとって700~900MHz周波数帯は喉から手が出るほど欲しい“プラチナ”の価値があったのである。

 ところが、現在その「プラチナバンド」が使用されているのは3G回線の電波のみであり、LTEへの電波切り替えも行っていない。また同じ700~900MHz周波数帯はNTTドコモやauが長らく整備してきた電波であり、ソフトバンクはこの周波数帯に参入する“最後発”である。その事実が理解されてきたことで、特にLTEに対応したiPhone5を中心に使う消費者にとっては、「プラチナバンド」は“プラチナ”と呼べる価値を持っていないことが明らかになったのだ。

●ソフトバンクはまたも乗り遅れ、新iPhone商戦でも劣勢に?

 現在、スマートフォン向け通信インフラの舞台はすでに「3G」から「4G/LTE」へとシフトしている。その中で、特に注目されているのが“プラチナバンド”帯である700~900MHz周波数帯のLTEサービスだ。しかし、ソフトバンクはこの700~900MHz周波数帯のLTEで、他社から大きく出遅れている状況といえる。

 各社の保有する電波の使用状況を見てみると、NTTドコモのLTE「Xi」に割り当てている周波数は、800MHz、1.5GHz、2.1GHzの3種類。auの「au 4G LTE」も800MHz、1.5GHz、2.1GHzの3種類を割り当て。いずれも“プラチナバンド”帯でLTEをすでに提供している一方で、ソフトバンクの「SoftBank 4G LTE」は2.1GHzとイー・アクセスが保有する1.7GHzの2種類のみを提供。ソフトバンクはこれを「ダブルLTE」と呼びパケ詰まり対策を大きくアピールしているが、他の2社は“プラチナバンド”帯を含む「トリプルバンドLTE」を展開しており、ソフトバンクが他2社より劣勢に立たされている感は否めない。

 ちなみに、ソフトバンクが「プラチナバンド」とアピールしてきた900MHz帯を利用したLTEの提供は、14年度になるという。ソフトバンクユーザーの大部分を占めるiPhone5ユーザーにとって、「プラチナバンド」の繋がりやすさが実感できるのは当分先のことであり、今秋に発表されるという情報もある“新しいiPhone”には、どう考えても間に合いそうにない。

 最近ソフトバンクが「プラチナバンド」の訴求を控え、「つながりやすい」というアピールのみに注力しているのは、こうした同社にとって厳しい電波事情があるのかもしれない。
(文=ライトフォーワン)

BusinessJournal編集部

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