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就活採用“ユニーク化”の背景〜逆指名、遊び、合宿、顔診断、リクルーター制復活…

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就活採用“ユニーク化”の背景〜逆指名、遊び、合宿、顔診断、リクルーター制復活…の画像1サイト「JOBRASS新卒」(アイデム)より
「ぜひ、わが社の面接を受けていただきたい」

 就職活動中の学生宛に、会社の人事部からそんなオファーが送られてくる。名付けて“逆指名就職”が、最近注目されている。

 人材情報サービス会社アイデムは、自分自身をアピールしたい就活生と、求める人材にピンポイントでアプローチしたい企業をマッチングするサイト「JOBRASS新卒」を提供する。昨年12月のサービス開始以来、登録学生数はすでに7万人を突破。サービスを活用する会員企業数は3500社を超え、登録企業の中にはNTTドコモなど人気企業も名を連ねる。
 
 今までの就活は、学生が就職サイトなどを介して、志望企業にエントリーシート(ES)を送り、面接や筆記試験へと進む流れが一般的だ。しかし、最近ではこの採用方式を疑問視する声が噴出している。

「人気企業からしてみれば、エントリー数が膨大で人事部が対応しきれない。だから、学歴だけでフィルタをかけて、一気に人数を絞ってしまう。反面、中小企業は採用予算を大きく割かなければ学生に見つけてもらえない。一方、学生は社会に出ていないだけに、自分がどのような業界や会社に合うのかわからなくて、つい人気企業にエントリーしがち。お互いの不幸を解消するのが、このサービスなのです」(アイデムJOBRASSセールスディヴィジョン・佐川好司氏)
 
 逆指名されたい就活生は、「就活プロフィール」に顔写真、資格やスキル、志望する業界やその理由、希望条件を書き込む。さらに、自分の強みや魅力をアピールするために、作品や論文をアップロードすることも可能。自分の「交友リスト」や、就職活動のレポートなどが公開することも可能だから、ESの何倍も、自分を存分にアピールできる。

 アイデムではこのプロフィールの「書き方講座」まで開催しているため、理系学生など「書くこと」が苦手な人でも安心だ。学歴にはイマイチ自信はないが、特定の資格やスキルがあったり、学生時代にやってきたことを自負している人、人望が厚く友達が多い人などには、うってつけの「自分アピール・ツール」なのではないか。

 実際、「ウェブ系のスキルやTOEICの高スコアなどを持つ学生を中心に、内定にまでつながるケースが続出している」(佐川氏)という。

●優秀な学生は企業から迎えに行く時代

「逆指名就職」の動きは、これにとどまらない。
 
 トヨタ自動車は、リクルーター制(同じ学校を卒業した先輩が、優秀な後輩を探し出し勧誘する制度)を復活させた。三菱商事や伊藤忠商事、三井住友銀行や日本銀行、日本生命や第一生命などの各業界大手でも、「選抜組はリクルーターが迎えに行くのが常識」(銀行人事)だ。
 
 楽天は、SNSを介した「逆指名」を始めた。就活中の学生が議論を交わす就活用の交流サイト(SNS)を開設し、参加者が実名で意見を投稿。その発言内容が優れた学生を、採用担当者が選んで、応募を促す。
 
 ほかにも、面接に趣向を凝らし「学生の本質」を見極めようとする動きも盛んになってきた。

 学生の「個性」を見分ける–。そんな意味から、最近はアパレルやIT、小売りを中心に「カフェ面接」も急増中だ。会議室を飛び出し、衆人環視のカフェに連れ出すことで、学生の「人となり」を見いだす。

 面接では、

(1)面接官と同じ値段程度の商品を注文できるか
(2)支払い時、きちんとお礼が言えるか
(3)相手の商品も運ぶ配慮があるか
(4)ごみはしっかりと捨てているか

などを、チェックする。つまり、「社会人としての常識」を評価する。

 カフェ面接の応用編とも言えるのが、IT企業・カヤックが10年に行った「寿司面接」だ。面接官へのお酌の仕方や、スマートなオーダーの仕方などが試されるのだろうか。

 ちなみに同社は、“おもしろ採用”の宝庫で、過去に、代々木体育館で「ウルトラクイズ」ばりのクイズ形式の新卒説明会を開催したり(10年度)、「日英中韓ウズベク語 5カ国語同時通訳オンライン説明会」(11年度)を行ったり、まるで受験の模試のように、志望動機を送りつけるだけで、前もって合格可能性を知らせるサービスまで行っている。ちなみに、志望動機は他社の志望動機の使いまわしでもOKという太っ腹ぶり。

 さらには、応募者の写真の「顔」で合格可能性を診断するサービスまである。政治家には政治家ヅラ、銀行員には銀行員ヅラがあるように、ITベンチャー企業社員にも“ITベンチャーヅラ”というのがあるらしい。

●候補者の能力を見極めるために、試行錯誤する企業たち

 突飛な採用に話題を広げると、IT企業のシグマクレストは、「遊んでいる時は、その人の素の姿がわかる」との理由から、「アミューズメント採用」を実施。面接官とボウリング、ダーツ、カラオケなどで対戦し、勝ったら次に進む。「カラオケも選曲や周りへの心遣いでその人らしさがとてもよく伝わってくる」(同社HPより)そうだ。

「遊び」で人材の本質を見極めるという意味では、ネット企業のボヤージュ・グループが行う、「宝探し採用」も同様だ。応募者は4〜5人のグループをつくり、ヒントをもとに社内に潜む「宝」を探す。これにより、初対面の相手とでも協業する力、潜在的能力などを見抜く狙いがあるようだ。

BusinessJournal編集部

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