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被災地復興予算、なぜ1.4兆円が無関係事業に流用?一部は東電救済に充当の可能性も

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会計検査院が入居する霞が関コモンゲート東館(「Wikipedia」より/Rs1421)
 10月、東日本大震災復興予算で実施された1401件の事業を調査していた会計検査院は、被災地復興とは関係のない事業が326件、金額にして1.4兆円に上っていると報告した。被災地復興のための臨時増税で徴収された税金が、全国各地の無駄な事業に使用されている実態が明らかとなった。

 初めて復興予算流用の事実が明るみに出たのは昨年秋。南極海の調査捕鯨を妨害する団体「シー・シェパード」への対策費や、沖縄の国道整備費など8事業への流用が問題になった。野田佳彦首相(当時)は昨年11月27日の復興推進会議で、「復興予算の使途にさまざまな批判が寄せられている。『被災地の復興に最優先で使ってほしい』という声に真摯に耳を傾けなければならない」と発言。政府は復興に直接結びつかない予算は2013年度以降認めない方針を示し、12年度予算についても被災地以外の官庁施設の耐震改修など35事業(約168億円)の予算執行を停止した。

 その後、国会の要請に基づき、東日本大震災の復興予算で実施された事業1411件のうち、特別交付税などを除いた1401件(約15兆2000億円)について不適正な使途がないかを調査していた。その結果、復興に直結する事業の912件(65.0%)、津波対策事業や学校耐震化の27件(1.9%)、復興に直結している事業との関連事業が混在している事業の136件(9.7%)について復興との関連を認めた。

 一方で、326件(23.2%)は被災地とは直接関係のない事業と判断した。そのうち35事業は廃止されたが、288事業は事業完了もしくは現在継続中となっている。

 会計検査院は、「復興予算は効率性、有効性および透明性の確保はもちろんのこと、今後の増税による国民負担等を財源にしていることから、事業の優先度などを適切に考慮するべき」と指摘。さらに、流用が明らかになった326件のうち、特に16事業は「透明性が確保できていなかったり、効果が不十分」と断じた。

 震災で悪化した雇用情勢を改善する目的で創設された厚生労働省の「求職者支援制度」は、職業訓練を受ける求職者に月10万円の給付金を支給し、求職者を受け入れる民間の専門学校などには奨励金を出す制度だが、11年度の支出総額12億3000万円のうち、岩手、宮城、福島の被災3県を除く44都道府県で9億7000万円が使われている。

 また、農林水産省は「鯨類捕獲調査安定化推進対策事業」として、11年度には財団法人日本鯨類研究所などに約22億円を支出し、同研究所の赤字補填や捕鯨船の警備に使われていた。

●復興予算の一部が、地方自治体や公益法人にプール

 会計検査院の報告書は、復興予算により地方自治体や公益法人が設置する復興関連基金(2兆8674億円)のうち、実際に使われたのは8244億円(28.7%)にとどまっていることも取り上げている。これは、使われていない資金はそのまま基金にプールされて眠っているだけということであり、今年7月には、復興庁と財務省は自治体などに対して1017億円を国に返還するよう求めたが、すでに配分されている1兆4500億円のほとんどは戻ってこない。

 こうした巨額な税金の流用が横行している背景について、税金専門紙記者は次のように語る。

「これほど大きな金額であるにもかかわらず流用の事実が表面化しなかったのは、予算の中から自治体や公益法人に基金として配分するという手法を取っていたから。基金は積み立て方式で、復興庁や財務省の管轄から離れることになり、各省庁、自治体が管理するため事業凍結の対象外となる。基金は単年度で使い切る予算でなく、複数年にわたって復興予算を使うことから全体を把握しにくい」