例えば今年の正月は、日本橋三越本店が「世界一周クルーズ」や「ダイヤモンドリング・ペンダントセット」などを盛り込んだ福袋を2014万円で販売。西武百貨店でも、ダイヤモンドや高級時計などを詰め合わせ好景気をイメージした「ブクロミクス福袋」が2014万円で販売された。
だが、こうした高額福袋は、果たして売れているのだろうか?
そこで、今年、100種類の100万円福袋をはじめ、羽毛布団などの高級寝具を詰め合わせた「眠り姫福袋」(1000万円)、そして1億円の「純金茶釜福袋」を販売した大丸松坂屋百貨店に、実際の販売実績を聞いてみた。
「100万円の福袋については、ジュエリーが入った宝飾品や、クロコダイル革製品といったファッション関係、それに旅行などができる体験型の福袋が人気ですね。売り場で即決で買われていくお客様も多いようです」(同社販売促進部)
同社によれば、「100万円の福袋100袋というのは、同社にとっても前代未聞の挑戦だったため、社内でも疑問視する声が上がっていました」と打ち明けるが、「ここまでの反響を頂いて手応えを感じています」とのことだ。
また、1000万円の「眠り姫福袋」や、1億円の「純金茶釜福袋」は売れたのだろうか?
「1000万円、1億円の福袋に関しては、まだ売れていません。さすがに値段が値段なので、まだ交渉をしている段階です」(同)
先日、プリンスホテルが販売した「365泊できる1000万円福袋が売れ残った」として報道されたが、売れ残っているのは大丸松坂屋も同じ。景気が上向いているとはいえ、富裕層としても1000万円を超える福袋に手を出すには、まだまだ心理的なハードルが高いのだろう。ただし、プリンスホテルでも「14泊100万円」などの福袋は売れ行きがよかったということで、「100万円」という金額が、消費者が「買ってもよい」と思える上限金額の目安なのかもしれない。
ところで、目玉商品である1億円の高額福袋がまだ売れていないとなれば、担当者はさぞ気落ちしているのではないだろうか。
「高額福袋を販売することは、PRのひとつにもなります。実際にマスメディアからの取材も多かったですね」(同)
百貨店側にとってみると、高額福袋はたとえ売れなくても、消費者に店舗へ足を運ばせるための話題づくりとして十分に意味があることなのだ。
(文=萩原雄太)