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東電に骨抜きにされるメディアと政治家~高級料亭接待、パーティー券購入…体験者が明かす

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東京電力本社(「Wikipedia」より)
 原発再稼働を訴える甘利明経済再生相のパーティー券を、2006年に甘利氏が経済産業相に就任して以降、原発を持つ電力会社9社が分担して購入していたと1月27日付朝日新聞が報じた。

 東京電力を筆頭に関西電力、九州電力など原発を持つ会社が政治資金規正法上の報告義務がない20万円以下に抑えて購入しており、11年の東電福島第一原発事故以降、東電はさすがに購入をやめているが、その他の電力会社は分担購入を続けていたという。法の抜け穴を利用したパーティー券の購入という名の「献金」のやり方は、いかにもかつて隆盛を誇った東電総務部のやり方だと妙に納得した。

 商工族の大物議員でエネルギー政策に強い甘利氏の取り込みは、89年に旧通商産業政務次官に就任した時から始まったとみていい。「次世代を担う商工族議員に育てようと旧通産省がまず目をつけ、資源エネルギー庁に代わり日本のエネルギー政策を実質的に牛耳っていた東電が、旧通産省・エネ庁官僚と歩調を合わせて、囲い込みを始めた」と、当時を知る元通産官僚は言う。

 甘利氏は当初、新自由クラブで出馬し当選している。その頃は、まったく眼中に入れてもらえなかったが、新自由クラブの解党に伴い自民党に所属することで、商工族議員の道を歩き始める。「まさに、20年かけて育て上げた“族議員”です。カネと労力を最もかけたのは東電総務部です。甘利さんも長年の恩義がありますし、原発をなくすという発想が出てこないほど長年にわたって洗脳された」と、前出の通産官僚は明かす。

 こうした東電総務部の工作活動は、政官界のみならず、メディアにも広がっていたことはよく知られた話だ。

 筆者もかつて東電総務部から接待を受けたことがある。フリーランスで大して名前の売れていない筆者を接待したのは、将来的に“族ライター”に育てたいという意識があったからだと推察される。当時の東電には、そういうことができるだけのカネも力もあった。なぜそう言いきれるのか。私自身の体験を少し綴ってみたい。

●高級レストランでの接待

 最初の接触は、絶対に断れない筋から来た。事前に人間関係や政治的立ち位置、嗜好などは念入りにチェックされていたのだろう。東京・溜池山王にある高級中華レストラン「聘珍楼」の個室に招待を受けたのは、甘利氏のパーティー券の極秘購入が明らかになったのと同じ06年だったというのは、なんとも奇遇である。フカヒレのスープや海老、鮑などの高級食材を使ったお料理のコースだったので、恐らく一人1万5000円は下らなかったはずだ。驚くのは、中華レストランなので紹興酒が出てくるのかと思いきや、「ワインに造詣が大変深いそうで」と、ドンペリで乾杯。その後も、ブルゴーニュのグランクリュ(90年代ビンテージ)という豪華さであった。帰りには、お土産の紙袋を渡され、タクシーが表で待っているという用意周到さ。しかも、お土産の中身は遊園地のチケットとアロマテラピーセットという、女性相手でも決して気を抜かない芸の細やかさには、感心を通り越して怖くなったのを覚えている。

 翌日、お礼状とお菓子を送ったところ、再びのお誘いがあったが、多忙を理由にお断りした。そのあたりの相手の出方を窺う機微にも優れており、その次に声が掛かったのは、豪華接待から半年後ぐらいだったように思う。

 東電総務部から「持ち寄りでワイン会をしませんか?」という連絡が来た。前回のこともあり心苦しさを感じていた私は、「持ち寄りなら」と1万円程度のワインをセラーから選び、指定の場所に向かった。聖路加タワー内の「明石施設」とだけ書いてあったので、普段着でワイン片手に出かけると、タワーのほぼ最上階にあったその接待用飲食施設は、エレベーターが開いた途端、和服の女性からお出迎えを受ける、東電役員専用の豪華料亭であった。だだっ広いお座敷に通されると、懐石料理のコースが次々と運ばれてくる。