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建設業、供給制約解消のために「工事単価値上げ」はまやかし?年収格差拡大で建設投資増?

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「Thinkstock」より
(文=上念司/株式会社「監査と分析」代表取締役)

「バミューダトライアングルでは年間100隻の船が行方不明になっている」という主張は、いまだにバミューダトライアングルが危険だとアピールするのが目的だ。しかし、ここを通過する船が年間約15万隻であり、比率で見ると他の海域と変わらない。後者を伏せて前者だけ言うのはデマである。ちなみに、行方不明になった船のほとんどが、のちに発見されている。

 最近インターネット上で吹聴されている「2009年、建設業に従事する生産労働者(現場で働く人)の年収は全産業平均より70万円安い」という主張は、そのせいで労働者が集まらず供給制約が生じているとアピールするのが目的だ。しかし、その年収の差は実を言うと1987年からずっと続いている。しかも、その金額は正確にいうと100万円以上なのだ。結論から申し上げると、この年収差の主な原因は建設業の生産労働者に占める中卒、大卒の比率は高いため、それが年収に反映される「学歴バイアス」の可能性が高い。この事実を伏せて、「建設現場で働く人の年収は、」と吹聴するのはデマである。

 事実を確認しよう。一般財団法人建設業振興基金 が 13年5月に行った調査によると、建設業への学歴別入職状況は以下のようになっている。

※以下、学歴・全産業・建設業(数値は%)
 大学・大学院卒 23.2 27.4
 高専・短大卒 8.3 3.0
 専修学校卒 13.4 10.0
 高校卒 46.8 46.5
 中学卒 8.4 13.0

 これは13年の入職者の学歴なので、大卒が今より人数も割合も少なかった古い時代には、高卒、中卒の割合はもっと高かった可能性が高い。よって、全年齢で構成比をみた場合、高卒、高卒の割合は6割を超えていると推定される。13年単年の状況ですら高卒、中卒の割合は全産業での約55%に対して、建設業では約60%と5%も高いのだ。

●操作された統計データ

「09年、建設業に従事する生産労働者の年収は全産業平均より70万円安い」という主張の根拠として挙げられている資料は、国土交通省のプレゼン資料の一部である。この資料は厚生労働省の賃金基本構造統計調査をベースに、建設業の生産労働者と全産業平均の年収を比較している。つまり、全体の労働者から「建設業」の「男性」のうち「生産労働者」だけを分離して、それを全体と比べるという操作を行っているわけである。結果としてそれは、建設業における男性の中卒、高卒者中心の賃金統計をつくることと同じ意味になっているのではないか。

 そもそも、労働者の年収は学歴によって大きな格差がある。13年賃金構造基本統計調査(厚労省)は次のように報告している。

「学歴別に賃金をみると、男性では、大学・大学院卒が395.4千円(前年比0.8%減)、高専・短大卒が298.8千円(同1.6%減)、高校卒が283.2千円(同0.9%減)となっており、全ての学歴において前年を下回っている。女性では、大学・大学院卒が281.3千円(同0.5%減)、高専・短大卒が244.6千円(同0.7%減)、高校卒が200.9千円(同0.2%増)となっており、高校卒が前年を上回っている。」