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会社を辞めたくても辞められない…退職妨害、なぜ増加?転職妨害、脅迫行為…防御策とは

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「Thinkstock」より
 違法で過酷な労働環境で社員を使い倒し、不要になれば退職に追いやるブラック企業が社会問題化している。その一方、企業がさまざまな悪質な手段を用いて、会社を辞めたい社員を辞めさせず、その犠牲になる人々が増えているという。今回はこうした問題が横行する背景や実態、そして企業による退職妨害行為から社員が身を守る防護策などについて、『辞めたくても、辞められない!』(廣済堂新書)の著者で、労働ジャーナリスト・溝上憲文氏に話を聞いた。

--本書で紹介されている企業は、“強制労働所”としかいいようがありませんね。

溝上憲文氏(以下、溝上) 創業者は24時間365日働いてきたので、社員に対しても「俺みたいに働け」と労働基準法を無視して仕事を強要しがちです。社員は創業者のように働くことは無理だと思っても、嫌々働くので心身ともにすり減ってしまう。一方、創業者は理念や口上をセミナーなどを通じて社員に浸透させ、会社に順応しやすい人間にしてしまうのです。

 そうなると、社員には辞めたいという思いがあっても、なかなか口に出せなくなってしまいます。「社長に叱られる自分が悪い」「ノルマを果たせない自分が悪い」という過度な自己責任意識が生じてしまうからです。

--そういう企業で社員が「辞めたい」と口にすると、経営者はどういう行動に出るのですか?

溝上 まずは怒りだします。社員は自分の分身だと思っているので、「俺を裏切るのか」「俺に足向けするのか」という心境になって、異常に怒りだすのです。

--退職を希望する社員を辞めさせないために、そうした企業はどのような手段に出るのでしょうか?

溝上 最も多い手口は次の5つです。

(1)「辞めるのは悪だ」と責め立て、説得を繰り返す洗脳的行為に出る。
(2)悪口を言いふらしたり、懲戒解雇をちらつかせて転職を妨害する。
(3)身代わりの人材や損害賠償の要求など、脅迫的な言葉を繰り返す。
(4)暴言や暴力を振るって怖がらせる。
(5)経営者や上司が自宅まで押しかけるストーカー行為を繰り返す。
 
 これら5つの手口はきれいに分類できず、多くの場合は複合的です。

--社員を使い捨てにするブラック企業とは逆の意味で、常軌を逸していますね。

溝上 社員を使い捨てにする企業でも、理不尽に辞めさせない企業でも、経営者や上司の心理状態は同じです。どちらも社員を使い潰しているのです。辞めさせない企業も、ブラック企業であることには変わりありません。