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昭和、なぜ密かなブーム?幅広い分野で関連商品続々、企業や店舗も注力、広い世代で人気

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『昭和キネマ横丁』公式サイトより
 四半世紀前に終わった「昭和」が再び人気になっている。ファッション、グルメ、特撮ヒーロー、映画、ドラマ、歌謡曲と、さまざまな“昭和の文化”が続々と商品化され、昭和関連の書籍やDVDの売れ行きも好調。「昭和」をリアルタイムで知っているのは30代以上の人に限られるが、当時を知らない世代にも、逆に“新しい文化”としてウケているようなのだ。

 例えば、近ごろ街で見かけるタイト(細身)のミニスカートをはいた女性たちや、肩からセーターをかける「プロデューサー巻き」は、1980年代後半~90年代初頭にかけたバブル期に大流行した、典型的な昭和のファッションだ。また、やはり当時流行ってその後、絶滅したはずのセカンドバッグも、クラッチバッグと名前を変えて復活しつつある。さらに、食でいえば、最近。B級グルメとして人気になっているスパゲッティ・ナポリタンは昭和の喫茶店の定番メニューだし、ロッテアイスが4月に発売したアイスクリーム「爽 冷凍みかん」も、昭和世代にとっては冷凍みかん=給食のデザートというイメージを喚起される人が多く、こうした商品も“昭和人気”のひとつの表れだといわれている。

 昭和のサブカルチャー人気も急上昇している。滋賀県の佐川美術館は4月5日から6月15日まで「昭和のウルトラシリーズ」のマスクや原画、台本といったお宝を集めた「ウルトラマン創世紀展」を開催中だ。同じく昭和を代表する国民的な特撮ヒーロー「仮面ライダー」も、3月末から特撮映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(東映)を公開中。公開初日には平成ライダーと昭和ライダーのどちらがいいかを決めるファン投票が行われたのだが、総投票数は実に277万票あまりと、昨年の「AKB48 32ndシングル選抜総選挙」の総投票数264万6847票を上回る数字で、昭和世代のお父さんお母さんはもちろん、その子どもや若い世代まで昭和のヒーローに熱い視線を注いでいる様子がうかがえる。

「松竹や東映、東宝、日活、角川書店の映画5社は今年1月、『昭和キネマ横丁』と題して昭和を代表する名作映画150本を一挙にDVDレンタル化しました。昨年にはマッハ文朱やビューティ・ペア、ミミ萩原など、歌手としても活躍した昭和の人気女子プロレスラーの楽曲を収録したコンピレーションアルバムも発売されています。こうした昭和のカルチャーが人気になっている一番の理由は、消費者の高齢化です。特に団塊の世代はどんどん定年退職する一方、若年層はモノを買わなくなった。その結果、お金も時間も比較的余裕のある昭和世代をターゲットにした商品やサービスが次々に出てきているのでしょう」(シンクタンク・アナリスト)

●昭和に特化した雑誌、部数3倍に

 実際、各店舗も“昭和”に力を入れ始めており、ジュンク堂池袋本店には昭和の人気ドラマのDVDを付録にした書籍がずらりと並び、昨年のNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の影響もあるのか、中古CDショップではキャンディーズや松田聖子、薬師丸ひろ子など、当時のアイドルのレコードを何十枚も大人買いしていく昭和世代のサラリーマンも少なくないという。

 スーパーカーブームや昭和の悪役レスラー、アニメ『あしたのジョー』など、昭和のブームやカルチャーに特化した異色の雑誌「昭和40年男」(クレスタパブリッシング、隔月刊)の北村明広編集長も、最近の“昭和人気”について次のように語る。

「『昭和40年男』の創刊は2009年ですが、この数年で発行部数が3倍に増え、現在では公称12万部です。たしかに昭和の文化が人気になっている部分はあると思います。僕自身は自分が昭和40年生まれで、あの時代が一番面白いと思って、この雑誌をつくっているだけなのですが」

 映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(東宝)もそうだったように、昭和は激動の時代であったと同時に、国民の暮らしが右肩上がりに良くなっていった時代。その昭和が今、人気になっているというのは、人々が今という時代に希望が持てなくなったことの裏返しなのかもしれない。
(文=柳悠太/清談社)