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食品添加物、残留農薬…体内で相乗毒性、人体に異常起こす可能性 食品安全委員会は静観

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環境省が所在する中央合同庁舎5号館(「Wikipedia」より/Lombroso)
 人は食生活の中で、多種類の食品添加物残留農薬を体内に取り込んでいる。しかし、これまでは食品添加物にしろ残留農薬にしろ、その安全性評価はそれぞれの食品添加物、残留農薬の単独の安全性評価に終始していた。そのため、体内に取り込まれた多くの食品添加物や残留農薬が、相互にどのような影響を与えるのか、相乗的に毒性を現出しないのかという問題については、ほとんど触れられず現在に至っている。

 そんな中、今年の2月に開催された環境省主催の「化学物質の複合影響評価に関する公開シンポジウム」で、さまざまな化学物質の相乗毒性に関する科学的事実が明らかにされた。報告者の一人、バックハウス博士(スウェーデン・イエーテボリ大学)は、藻類の増殖阻害率を殺虫剤でみた時、単体の殺虫剤(25種類)では0%〜最大17%であったのに対して、25種類の殺虫剤の混合物では阻害率が46%にもなったことを明らかにした。

 ちなみにこれに先立ち2009年、EU環境長官のスタブロス・ディマス氏は、「各単独物質の影響は考慮するが、実際のところ、我々が最も多く曝露されるのは多数のさまざまな物質のカクテル(混合物)である。知識と評価に関して重要なギャップが残されている領域の一つがこれである。今後数年のうちに、これらのギャップを埋める必要がある」との見解を明らかにした。そして、EU理事会は同年の第2988回ブリュッセル理事会で「リスク評価では化学物質の複合的曝露を考慮する」「化学物質の複合作用に対処する化学物質政策、研究、および評価方法の分野で追加措置が必要」「この後の提案書の作成に当たっては、化学物質の複合作用の予防原則と潜在的リスクに対し、適切に配慮する」との結論を打ち出した。

 また、このシンポジウムで報告した大嶋雄治九州大学農学研究院教授は、メダカを使ったポリ塩化ビフェニル(PCB)と有機スズ(TBT)の複合曝露実験で、オスの性行動が抑制され、メダカ胚の奇形率が増加した実験結果を公表した。さらに、ミジンコにおける3種類農薬(ダイアジノン、ベンチオカーブ、フェニトロチオン)の複合毒性実験では、低濃度では毒性がないが、複合で毒性が増加することを明らかにした。結論的に大嶋教授は、毒性のない(=単独低濃度で毒性が観察されない)ものが、複合曝露では毒性があるとし、複合毒性研究のフレームワークの確立が必要としている。

 また、環境省環境保健部・山崎邦彦氏は、同省が12年度から化学物質の複合影響についての予備的検討を始め、13年度には複合影響評価ガイダンス(仮称)の検討を始めたことを明らかにし、正面から化学物質の複合影響問題に取り組んでいることを強調した。

●食品安全委員会は静観の構え

 実は環境省の取り組みに先立ち、食品安全委員会は06年、三菱総合研究所に「食品添加物の複合影響に関する情報収集調査」を委託し、07年3月に調査結果を公表している。その結論は、次のようなものであった。