NEW

消えた383億円 “グッドウィルの亡霊”テクノプロ上場に暗い影落とす、闇の買収劇

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テクノプロ・ホールディングス公式サイト」より
 技術者派遣・請負事業を行うグループ会社を統括、運営するテクノプロ・ホールディングス(HD)が、昨年12月15日、東京証券取引所の市場一部に新規株式公開(IPO)した。初値は1852円で、公開価格(1950円)を5%下回った。その後の高値は12月17日の2032円で、公開価格をようやく上回った。安値は上場初日の1799円である。

 公募増資による新株発行は行わず、株式の99.9%を保有する筆頭株主の投資ファンド系企業であるジャパン・ユニバーサル・リクルートメントが保有株2725万5000株(発行済み株式数の80%)を売り出した。

 株式市場は、公開価格割れを冷静に受け止めていた。「旧グッドウィル・グループの再上場案件といういわくつきの銘柄だったので前評判は盛り上がらず、初値は公開価格割れになるのでは、と予想されていた」(外資系証券会社アナリスト)

 今年に入って1月6日、日経平均株価は一時、526.98円安と急落したが、テクノプロHDの株価は1956円まで下げ、終値は1960円。7日は1945円で公開価格を下回ってしまった。

 テクノプロHDの前身は、アイルランドの投資会社が2006年7月に設立したジャパン・ユニバーサル・ホールディングス・アルファ。12年4月、商号をテクノプロHDに変更した上で、旧グッドウィル・グループの後継会社、プロンプトHD(かつてのラディアHD)から傘下の事業を買収した。

 テクノプロHDは、東京・港区六本木の六本木ヒルズ森タワーに本社を置く。傘下に約1万人のエンジニア、研究者を擁する国内最大の技術人材サービス企業のテクノプロ、建設系技術者の派遣会社であるエヌ・アンド・シーなどがある。株式公開をにらみ、テクノプロは昨年7月、シーテック、テクノプロ・エンジニアリング、CSI、ハイテックの4社が統合して設立された。取引業界は輸送用機器が38.9%、産業用機械が19.6%、電子部品が11.1%、情報産業が9.4%などとなっている。

 同社の西尾保示(やすじ)社長は名古屋大学法学部を卒業後、日本長期信用銀行に入行。ロンドン支店長などを歴任したが、長銀が経営破綻した後は、山佐、セコムメディカルリソース、昭和地所、国際興業と転職を重ね、08年に旧グッドウィル・グループの取締役に就任した。テクノプロHDの新体制のもとで常務取締役兼財務経理本部長を務め、13年7月に社長兼CEO(最高経営責任者)兼CFO(最高財務責任者)に就いた。

 筆頭株主のアイルランドの投資会社は保有株式を順次売却して、投資分を回収して撤退する。「旧グッドウィル・グループの亡霊が甦った」と騒がれた今回の上場だが、テクノプロHDは独立系技術者派遣会社に生まれ変わるようだ。

●国際会計基準(IFRS)を採用したワケ


 テクノプロHDは国際会計基準(IFRS)を採用している。新規上場企業でこのIFRSを採用するのは、すかいらーくに次いで2社目だ。

 15年6月期の連結決算の売上収益(IFRSでは売上高とはいわず売上収益)は前期比7%増の796億円、営業利益は23%増の70億円、当期利益は57%増の63億円、1株当たり配当金は93.19円を見込む。

 IFRSを採用したのは、買収に伴う「のれん」代の292億円(14年9月末)を当面、償却しないで済むからだ。日本の会計基準では「のれん」代は20年以内に均等に償却しなければならず、営業減益の要因になる。それを避けるために国際会計基準を採用したということだろう。

 12月に新規に上場した銘柄の中で、テクノプロHDは静かな発進となった。膨大な「のれん」代を抱えるすかいらーくも上場以来、上値が重い展開を続けている。テクノプロHDの株価は今後どうなるのだろうか。