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コレステロール値は低いほうが危険?がんや脳梗塞のリスク高まる…降下剤は服用厳禁

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「Thinkstock」より
 春の健康診断を受け、コレステロール過多と診断された人も多いのではないだろうか。ところで、コレステロールが多いと何が問題なのだろう。

 生活習慣病になりやすいという意見がある。コレステロール値が高いと、食事制限を命じる医者もいれば、コレステロール降下剤を処方される場合もある。しかし、コレステロールは病原体ではなく、直接病気を引き起こすこともない。むしろ、体にとって必要不可欠な物質である。脂質の一部であるコレステロールは、細胞をつくる元になる。細胞を包む細胞膜の成分となるのだ。コレステロールが足りないと、新しい細胞をつくれなくなり、がんができやすいといわれている。

 また、コレステロールは紫外線を浴びるとビタミンDの前駆体になる。ビタミンDは、体がカルシウムを吸収する際に必須といわれており、どんなにカルシウムを摂取しても、ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が不十分となり、骨が弱くなることがわかっている。さらに、女性ホルモンや男性ホルモン、ストレスを受けた時に副腎皮質から分泌される抗ストレスホルモンなども、コレステロールがなければつくることができない。

 このように見てくると、コレステロールがいかに体にとって重要な成分であるかがわかる。

コレステロールが悪いという誤解

 では、なぜコレステロール値が高くなると過剰に危険視するのだろうか?

 コレステロールは、肝臓でリポタンパクというタンパク質に包まれ、血液に乗って体の器官に運ばれる。このリポタンパクにコレステロールが包まれた状態を「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」と呼んでいる。両者の中にあるコレステロールには違いはない。結びついたリポタンパクの違いによって呼び分けているのであるが、名称のイメージから「良いコレステロール」と「悪いコレステロール」のように思われる節があるが、それは勘違いである。

 その善玉/悪玉コレステロールが、血液中で活性酸素に接触するとリポタンパクが酸化して壊れるのだ。そしてコレステロールも酸化し、血液中に広まってしまう。すると、マクロファージという細胞が酸化したリポタンパクやコレステロールを掃除する役目を果たすのだが、マクロファージだけで処理しきれなくなると、平滑筋細胞が掃除を手伝う格好になる。

 マクロファージや平滑筋細胞がコレステロールやリポタンパクを取り込むと、アテローム(粥状隆起)が生じる。このアテロームは、脳梗塞の原因ともなるもので、その中にはコレステロールをため込む性質がある。ここから、脳梗塞の原因がコレステロールのように思われがちなのだが、コレステロールそのものよりも活性酸素が悪者であることは明白だ。

 コレステロール値が高いことがいいわけではないが、その値を気にするよりも、体にとって必須の栄養素であるコレステロールを酸化させる活性酸素を減らす食べ物を摂取するように心がけることが重要なのだ。

 活性酸素を撃退する役割を果たす物質はスカベンジャー(抗酸化物質)と呼ばれ、体内でもつくられるのだが、体内でつくる能力は20代をピークに加齢とともに低下する。主にSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンといった物質がスカベンジャーとなるが、食物から摂取することができるスカベンジャーもある。例えば、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、ビタミンB群などがそうだ。これらを含む野菜類を食べることで、活性酸素を無害化する働きが強まるのだ。ほかにも、赤ワインやココア、ハーブなどにもスカベンジャーの働きをする物質が含まれている。

 また、コレステロール降下剤を飲むのはもってのほかだ。これは、胆石を生じさせるなどの副作用があるので、処方されても飲まないほうがいい。

 コレステロール値が高いと脳梗塞のリスクが高まるという説があるが、これは誤解だ。むしろ、脳内出血の原因は「低コレステロール」にあるとの指摘が有力になっている。コレステロールが少ないと血管がもろくなり、出血リスクが高まるともいわれているのだ。

 コレステロール値が高いからといって慌てて薬やサプリメントを飲まず、食事に気をつければ特に問題はないことがおわかりいただけただろうか。
(文=村上純一/医療ジャーナリスト)