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高橋篤史「経済禁忌録」

あの「ハコ企業」、反社勢力と関係&隠蔽疑惑で上場廃止の危機 困難化する反社排除

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名古屋証券取引所(「Wikipedia」より)
 金融証券市場からいかにして反社会的勢力を排除するか――。名古屋証券取引所・セントレックス市場に上場するオプトロムが監理銘柄(審査中)に指定された一件は、それを考える上で示唆に富む事例といえる。

 仙台市に本社を置き、もともとはCDやDVDの製造を行ってきたオプトロムが名証から監理銘柄指定を受けたのは、3月9日のことだ。名証は同社について上場廃止基準に該当するかどうかの審査を進めている。指定に至った過程は過去に例のない特異なものだ。反社勢力との関係性を調査する「反社チェック」をめぐり、取引所に対し隠蔽行為があったことが理由とされたのである。

 オプトロムは2006年10月に上場したが、2年後には赤字転落し、以来エクイティ・ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)を繰り返してきた。この間、経営陣には、乱脈経営などで09年に経営破綻した旧SFCG関係者や、旧ジャパン・デジタル・コンテンツ信託の破綻間際に関与した人物らが名を連ねるようになった。さらになんの脈絡もなく無農薬野菜事業への参入を表明するなど、事業内容も猫の目のように変わり始めた。いわゆる「ハコ企業」の1社である。

 そうした中、オプトロムは昨年2月、最大5億円の資金調達をもくろみ、新株予約権を発行した。割当先のうち1社は、コンシェルジュという東京・芝浦の合同会社だった。問題となった反社チェックは、そのコンシェルジュの背後関係をめぐるものだった。調達した資金の一部は放射性物質の除染事業に参入するため、コンシェルジュのグループ会社の株式取得資金に充てるとされていた。

 近年、ハコ企業に対し反社勢力が接近を図るケースが相次いでいることは、よく知られた話だ。例えば、08年の旧アイ・シー・エフをめぐる偽計事件ではパチンコ情報会社の経営者が主犯格として摘発されたが、その人物は大阪府警捜査4課が長年マークしていた元暴力団幹部だった。

 そうした事態を受け、各証券取引所は09年からエクイティ・ファイナンスを行う企業に対し、割当先が反社勢力と関係がない旨を表明保証する「確認書」の提出を義務づけるようになった。それに伴い、各企業は外部の調査会社に委託して割当先の反社チェックを行い、適時開示資料(プレスリリース)にもその旨の記載を行うようになっている。

調査会社の報告書を無視


 オプトロムの新株予約権発行でも反社チェックが行われたわけだが、同社側はリリースの中で「(調査の結果)反社会的勢力等や違法行為に関わりを示す情報に該当はありませんでした」と記述していた。要は前出のコンシェルジュを「シロ」としたわけだ。

 ところが、調査の経過はそれとは大きく異なっていた。実は調査過程で、コンシェルジュのグループ会社や親会社の実質的経営者とみられる人物に実刑判決を受けた過去があることが判明していたのだ。そのため、調査会社は報告書の中で「適格な相手方と言うことはできない」とまで指摘していた。しかしオプトロムはその後独自に行った関係者への聞き取りなどを盾に、「シロ」との最終判断のみをリリースに記載していたのである。