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大阪で歴史的惨敗の三越伊勢丹、逆襲なるか?捨て身戦略で撃退した阪急阪神内の優劣鮮明

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旧JR大阪三越伊勢丹(写真は改装前/「Wikipedia」より/Kirakirameister)
 訪日外国人客の急増で、東京・銀座や大阪・キタの都心百貨店が息を吹き返しつつある。主力店舗の改装・建て替えで集客力を高める計画に力が入る。特に大阪市内はここ数年、百貨店や大型商業施設の改装・開業が続き、競争が激化。早くも明暗が分かれた。

 JR大阪駅北側ビルに入居する商業施設「ルクア1100(イーレ)」(地上10階、地下2階、売り場面積3万3000平方メートル)が4月2日オープンした。業績不振に陥ったJR大阪三越伊勢丹を全面改装。おなじみの青地のロゴ「ISETAN」を外し、専門店との垣根をなくした脱百貨店戦略で再起を図る。

 JR大阪三越伊勢丹は2011年5月に開業。呉服や美術品に強い三越とファッションの伊勢丹を組み合わせた「洗練された百貨店」のイメージを演出したが、東京流は関西では受け入れられず、歴史的な惨敗を喫した。イーレは隣の専門店街「ルクア」と合わせた「ルクアosaka」として、開業1年で売上高770億円を目標に掲げる。ルクアの14年度売上高は346億円なので、イーレは430億円以上を売り上げる必要がある。JR大阪三越伊勢丹の13年度の売上高は305億円だったことから考えると、この目標のハードルはかなり高い。

 JR大阪三越伊勢丹がJR大阪駅北口に進出することで最も打撃を受けるとみられていたのが、エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングだ。JR大阪駅南口に、傘下の阪急阪神百貨店の阪急うめだ本店と阪神梅田本店がある。

 阪急阪神の本拠地に三越伊勢丹が殴り込んでくる――。その迎撃作戦の陣頭指揮を執ったのが、H2Oの椙岡(すぎおか)俊一会長兼最高経営責任者(CEO)だった。07年にH2Oの初代会長に就いた椙岡氏は08年、ライバルの高島屋と経営統合の交渉に入った。その際、高島屋はH2O株を8%、H2Oは高島屋株の9%を相互に持ち合った。

 三越伊勢丹を迎え撃つため、高島屋と阪急阪神百貨店がスクラムを組んだ。東京と大阪の百貨店戦争は、三越伊勢丹の開業4年で勝負がついた。撃退に成功したため、H2Oと高島屋は持ち合っていた株式の保有割合を発行済み株式の5%まで減らした。「三越伊勢丹に対抗すべく手を結んだだけで、もともと統合するつもりはなかった」(業界筋)とみられている。

 JR大阪三越伊勢丹が「ISETAN」のロゴマークを外すのに合わせて、椙岡氏は15年4月1日、H2Oの取締役相談役に退いた。会長兼CEOのポストは空席となり、鈴木篤社長を中心に事業を進める。4月3日、大阪市内で記者会見した椙岡氏は「(12年秋に建て替えた)阪急うめだ本店が軌道に乗ったら引き際だと腹を決めていた」と述べた。三越伊勢丹を撃退したという、事実上の勝利宣言であった。