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高橋篤史「経済禁忌録」

ゲオ内紛で追われた元会長、今度は2億相当の株を騙し取られる 跋扈するパクリ屋の手口

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ゲオの店舗(「Wikipedia」より/Mariemon)
「パクリ屋」と呼ばれる連中が裏経済の世界に棲息していることを、ご存じだろうか。不振企業を食い物にするブローカーの一種だが、その手口はシンプルだ。文字通り、株や手形などを持ち主からパクってしまうのである。その生態を垣間見ることができる民事訴訟が現在、東京地方裁判所で行われている。

 昨年12月下旬、レンタルビデオ店チェーン大手のゲオホールディングスで会長を務めていた沢田喜代則氏が、都内の調査会社関係者4人を相手取り損害賠償を求め裁判を起こした。その内容は、おおよそ次の通りである。

 2011年12月、沢田氏はJR品川駅近くの喫茶店などでティビーエス調査センター(以下、TBS社)なる有限会社代表者らと面談を重ねていた。ほどなく両者は融資契約で合意することとなる。沢田氏が保有するゲオ株2500株を担保に差し入れ、TBS社から1億円を借り受けるというものだった。「株券譲渡担保融資契約書」によれば、期限は翌12年3月末までの3カ月間、利息は年6パーセントとされた。

 ただ、この話は最初から少しきな臭かった。というのも、TBS社がゲオ株の預け入れ口座に指定したのは自社名義の証券口座ではなく、三田証券に開設されたジェイサイトという都内の会社名義の口座だったのである。それを裏打ちするものとして示されたのは、同月27日付でTBS社とジェイサイトが交わしたという「覚書」だった。

 いずれにせよ、沢田氏はこの点にあまり不審を抱くことはなかったようだ。言われるまま、同氏は担保となるゲオ株をジェイサイト口座に入庫したが、肝心の融資金はなかなか振り込まれなかった。催促すると、12年1月6日に5000万円、同月10日に4000万円がやっと振り込まれてきたが、約束の1億円には1000万円足りない金額だ。

 そうこうするうち、期限の3月末が近づいた。融資金を返済し、ゲオ株を返却してもらおうと、沢田氏はTBS社との間に立っていた仲介者に掛け合った。ところが、いつまでたってもゲオ株は戻ってこず、やがてTBS社の代表者らとは連絡が取れなくなってしまった。困った沢田氏は警察にも相談したようだが、まずは民事での解決を探るため、昨年末になり提訴に及んだというわけだ。とはいえ、被告のうち3人に対しては訴状すら送達されていない状況。住民票さえ当てにならず、居所が不明なのである。

伏線


 実は沢田氏が怪しげな融資話に引きずり込まれたのには伏線があった。

 11年夏、ゲオは内紛に揺れていた。当時、沢田氏は代表権のある会長を務め、子飼いの森原哲也氏に社長を任せていたが、突然臨時株主総会の開催を請求され、社外取締役5人の増員を求められたのである。沢田体制に反旗を翻したのは、こともあろうに現職取締役の遠藤結蔵氏だった。遠藤氏はゲオ創業者である故遠藤結城氏(04年に事故死)の長男で、資産管理会社などを通じ約3割の株を握る、筆頭株主の座にあった。